「だ、だったら私に考えがあるわ!!
私が国に戻り両親を説得するの。両親なら私の言葉は、
信用してくれると思うし、幸せにやっていると分かれば
安心してくれるはずだから」

私は、必死になったあの男に提案を出した。
そうよ。この身体の実の両親なら話を聞いてくれるはず
別の人達の仕業だと分かれば言い争いも
戦になる必要も無くなるわ。

「しかし……周りに変な輩がうろついているのですよ?
もしユリア様に魔の手が来たら大変ですし」

「でも動かないと余計に拗れるわよ!?
そうでもなくても国は、私が人質にされたと
勘違いしているみたいだし……」

自分だって来るまでそう思っていた。
人質にするために妻として嫁がされて、きっと
酷い生活をさせられるのだと思っていた。
弱みを握ってやろうと思うほどに……。
でもそれは、私達の勘違いだった。

あの男は、本当はそんなの望んでいない。
ただ不器用ながらも私を……。

「なら俺も一緒に行こう」

はぁっ……!?
あの男の急な申し出に私もロンも驚いてしまった。
するとあの男は、ため息混じりに頭をかいていた。

「どうせ疑われているのなら、今の内に
誤解を解いておいた方が賢明だろう。それに
どのみち戴冠式には呼ぶつもりだ。貴様の両親に
正式に認められながら祝う方がいいだろうからな」

「……陛下……」

それは、私のために?
不安がっているのは、両親のことがあると思ったのだろうか。
違うが、それでも私のために動こうとしてくれたのは、
とても嬉しかった。

ロンは、それを聞くとため息混じりになるが
承諾してくれた。アミーナも喜ぶ。
口下手なあの男が、余計なことを言わないか心配はあるが
一緒に来てくれるのは心強いと思った。

こうして私は、アース帝国に帰国することになった。
誤解を解くためと戴冠式に出席してもらうための
報告に行くのが目的だ。行くのは、あの男と私。
そして同じ国出身で専属侍女のアミーナのみだ。

ロンとエレンは、国に残り皇帝であるあの男が
居ない間、仕切ってくれることになった。
もちろん何があるか分からないため部下や兵も
たくさん引き連れて行くことになった。
逆にビビらせないか不安でもあるが……。

アミーナと私は、馬車で行くことになり。
あの男は、部下と一緒に馬で行くことになった。
身支度をして、いざアース帝国に向けて出発だ!