「嫌じゃないけど……その……実感がなくて」

半分本当で半分嘘。
確かに。正式に皇后になるにしても実感は湧かないし
上手くやれるかも分からない。不安もある。
だがそれよりも不安なのは、私がなっても本当に
いいのだろうか?

私は、異世界の人間。
本当に皇后に継いだら二度と元の世界に
帰れない気がしてそれの怖さがあった……。
元の世界……。胸がズキッと痛みだした。
何だろう……最近元の世界のことを考えると
胸が痛むようになってきていた。
そのせいもありあまり考えないようにしていたのに。

するとあの男は、私をギュッと抱き締めてきた。
何か優しい言葉を言う訳ではない。
ただ離れて行かないように抱き締めてくる。
あたたかいぬくもりに私は、さらに胸が苦しくなった。

そして、しばらく抱き締め合った後。
いつもの別のルートで城に戻る。するとアミーナと
ロンが慌ててこちらに来た。

「ユリア様~捜したんですよ!!」

「ど、どうしたの?アミーナ?」

私を見るなり抱き締めてくるアミーナに
驚いてしまいました。何事だろうか?
するとロンは、あの男に手紙らしき物を見せてきた。

「今、アース帝国のに行かせている監視下から手紙が。
アース帝国に不穏な気配があるとのことです。
何かされた訳ではありませんが、怪しい輩が
帝国の周りにうろついていると……。
アース帝国は、我々なのではないかと疑いの目が
向けられて警戒されているようですね」

アース帝国に!?
その国は、私が飛ばされた国で、この元の身体の
持ち主が育った国だ。
しかも怪しい輩って……誰?
あの男達は、そんなことしないし。それに対して
疑われているなんて只事ではない。

「何だと……!?俺は、そんな指示を出していない。
誰がそんなことを……心当たりはないのか?」

「それは、今取り調べ中です。
アース帝国に恨みがある者達か、またまた
エミリオン帝国に恨みがあり、疑惑を向けさせて
再び衝突をさせたいのか、どちらかと……」

「確かに。後者の可能性が高いな。
アース帝国が、また仕掛けてきたら再び
争いが始まるぞ。そうなる前に何とか手を打たないと」

考え込むあの男に私は、慌てる。
そんなことしてなるものですが!!
アース帝国は、本当の両親でもないけど
とてもいい人達だった。周りの人達も……。
そんな国とエミリオン帝国を戦わせる訳にはいかないわ。