私だってしがみつきたい訳ではない。
でもランタンが無いと足元も危ないし、何より
不安になってしまう……。

あの男は、それ以上何も言わない。
しがたみつくから心臓の音が聴こえそうで恥ずかしい。
それに腕のぬくもりが伝わってきた。

しばらく階段で上がって行くと丸い穴が見えてきた。
どうやらマンホールとして繋がっていたようだ。
あの男が先頭になり蓋を開けてくれた。
上がると私に手を伸ばしてきた。
私は、その手を受け取り上がる。少し離れた場所で
宮殿の庭にたどり着いた。

凄い……抜け道になっていたのね!?
城の家宝があり、宮殿の抜け道になっている隠し部屋。
もし何か遭った時に、ここから逃げ出せばいいし
何より秘密にしておかないとならない。

本当に隠し部屋だったから、今でも興奮と
心臓がドキドキが収まらないでいた。すると男は、
私の方を見てきた。

「さて帰るか。ロンが今頃帰りが遅いから
心配して捜しているかもしれない」

「えぇ……そうね」

私達は、そう言うと自然とお互いに手を繋いだ。
前皇后様も同じ気持ちだったのかしら?
2人で秘密を共有する。それは、恋のスパイスとなって
何だか刺激的でドキドキする。
そうすることであの男との距離がさらに近くなったような気がした。

城に戻るとロンに小言を言われた。
アミーナもエレンも心配していたらしく捜していたらしい。

「もう……心配したんですよ~ユリア様ったら」

「ごめんなさい。ちょっと陛下と落とし物を
探し物していたの。でもすぐに見つかったから……」

私は、苦笑いしながら誤魔化した。
そしてチラッとあの男を見た。

するとあの男は、私に気づくと指を立てながら
シーと合図をしてきた。
私は、それを見て驚くもフフッと笑うのだった。
悪くないわね……そんな秘密も。