「ほう。なら貴様も同じことをされてもいいのだな?」
えっ……?
するとあの男は、そのまま私を押し倒してきた。
覆い被され心臓は、ドキドキと高鳴ってしまう。
えっ……これって。
まるで前皇帝と前皇后様を再現しているような状態だ。
あの男は、そのまま私にキスをしてきた。
甘く深いキスをされてさらに心臓が激しく高鳴る。
唇を離すと首筋に移動してきた。
胸にも触れてくるので、余計に恥ずかしくなり
「待って……これだとあなたの両親みたい」だと呟いた。
すると気にしたのかピタッと動きが止まった。
あら……やめてしまうの?
恥ずかしいのに、いざやめられると残念な
気持ちになるから不思議だ。
「陛下?どうしたの?」
「余計なことを言うなよ……思い出したら
見られているような気持ちになる」
頭をかきながら言うあの男に思わず笑ってしまった。
私と同じで恥ずかしくなったらしい。
クスクスと笑う私にムスッとしたのか立ち上がってしまった。
そして後ろを向くと……。
「まぁいい。いつでもここでデキるからな。それよりも
周りが心配しているかもしれん。戻るぞ?
ここは、俺達の秘密にしておきたいからな」
「えっ?秘密にするの?」
「当たり前だ。ここは、貴重なモノが多いし
何より俺達が見つけたんだ。
秘密にするのは、当然だろーが?」
当然とばかりに言うあの男に驚くが
私は、嬉しくなった。共有の秘密。
まるで前皇帝と前皇后様になったような気分だ。
素敵……ロマンチックだわ。
私は、うんと頷くとソファーから立ち上がった。
帰り道は、違う道で帰ると言う。
ランタンを持ちながら反対側の階段を歩く。
二ヶ所あるが、その中でも短い方の道にする。
あの男の話だとこちらの方が宮殿に近いだろうと予測する。
暗い道で不気味なので私は、ギュッと右腕に
しがみつきながら歩いた。
「おい。あまりしがみつくなよ……」
「仕方がないじゃない。暗いんだもん」