『○月○○日。曇り。
陛下のお許しで図書室の使用を許可してもらった。
一緒に居られるこの時間が好き。
そんな陛下が、私にある場所に連れてもらった。
このお城にある秘密の隠し部屋。
世界を知る夢の場所。
陛下は、私達の秘密にしようと言って下さった。
嬉しい……まるで夢を見ているようだ』
『○月○○日。晴れ。
また秘密の隠し部屋に訪れた。2人で共有する部屋。
それだけでも十分に幸せなのに陛下は、
私を好きだと言って下さった。夢のようだ。
だが自分は、侍女でただの使用人。身体も弱い。
陛下は、エミリオン皇后の皇帝で、いずれ
世界の皇帝になる方。きっと身分の高い女性が相応しい
私なんかでは相応しくない。
そう思うのに……陛下の気持ちに逆らうことが出来なかった。
私も陛下が好き。例え今後結ばれなくても……』
『○月○○日。晴れのち曇り。
今日も秘密の隠し部屋を訪れた。帰りは、違う道で。
ダメだと思うのにあの方に会いに行ってしまう。
陛下の抱き締められると凄く幸せに気持ちになる。
もっと一緒に居たいと思う気持ちが強くなってしまう。
そんな私に陛下は、甘いキスをしたり
たくさん愛してくれた。身体を重ねるたびに……』
読んでいたあの男は、それ以上読むのをやめてしまう。
どうしたのよ?続きは?
そう思いながら見るとあの男は、
耳まで真っ赤になっていた。どうやら
両親のなれそめを聞いて恥ずかしくなったようだ。
まぁ……仕方がないわよね。
自分でも親のなれそめ聞いたら恥ずかしくなるし。
それに聞いていて分かったのだが
どうやらこの隠し部屋があの男の両親。
前皇帝と前皇后様の愛の巣だったようだ!
この先は、読まれなくても何となく分かってきた。
もしかしてここで、お腹に宿った可能性が高いだろう。
「フフッ……もしかしてここで、前皇后様のお腹に
陛下が宿ったのかもしれないわね」
「それ以上言うな。恥ずかしくなる……」
「あら、どうして?素敵じゃない?」
私は、わざとそう言うとあの男は、さらに
恥ずかしそうに顔を隠した。照れている……。
まさか、こんな貴重な部屋で、両親が
愛を育んでいたと分かり驚いたが素敵だと思う。
「両親がだぞ……?しかも今、座っている
場所かもしれないしれないなんて恥ずかしくて
どうしたらいいか分からん」
「あら、喜べばいいじゃない?
私は、憧れるわ。陛下と侍女だった前皇后様が
ひっそりと愛を育んでいたなんてロマンチックだわ」
「女は、好きだな……そういうの」
あの男は、呆れたようにため息を吐いた。
だって素敵じゃない?
身分の低かった前皇后様は、自分の力で
前皇帝に惚れさせるなんて。
しかもそれがお互い好き本だ。まるで
ロマンチックな小説を読んでいると気分になった。