「陛下。ユリア様!?どちらに行かれるのですか?」
「ちょっとそこまで。ちょっとこの人借りて行くわね。
安心して。私も一緒だから……じゃあ」
ロンに慌ててあの男を借りると言うと
止めるのも聞かずに強引に執務室から出て行く。
少し行った場所まで来ると包みの紙を広げた。
確かに間取り図になっていた。
出入り口は、三ヶ所。その中の二ヶ所は、
細い道で繋がっていた。この細い道は、どうやって
先に繋がっているのだろう?
部屋も何があるのか分からないし
本当に隠し部屋っぽいわね。
あの男も横でそれを見ながらうーんと悩んでいた。
するとハッと何かを思い出したように
「そうか……あれは、そういう意味か!」と
納得し始める。
「えっ?何か分かったの?」
「前から不思議に思っていたんだ!
来い。貴様にも見させてやる」
あの男は、そう言うと嬉しそうに私の手を握ると
走り出した。えぇっ!?
私は、意味が分からなかったが言われるがまま
一緒に向かうことになった。
繋がられた手は、ドキドキと心臓が高鳴る。
向かった先は、図書室だった。
えっ?ここに隠し部屋があるの!?
どう見てもただの図書室だ。図書室と言っても
ここは、図書館なみの本はある。
2階まで続く本棚は、何千冊ぐらいあるのだろうか?
するとあの男は、私の手をそのまま引き歩きだした。
向かった先は1階の1番奥にある本棚だ。
大きな備え付けの本棚まで行くと足を止めた。
「ここの図書室は、何百冊の本がある。
しかも昔から作家順に本を並べてあるし、備え付けの
本棚は、余程以外変えてはならないと言われている。
そして暗号の『図書の世界に希望あり。
この本を元に戻せ。そこを覗くと何が見える?
この先にボタンがあれば、新しい扉が導かれよう』は、
この本を戻す際に本棚を覗けと言う意味だ。ここだ。
ここの部分を覗いてみろ……」
えっ……?
私は、指示された本棚を覗いてみることにする。
確かに。同じ作家の本がたくさんある。
すると奥に㊦の矢印のマークが隠されていた。
下を見ろってことかしら?
下を見ると今度は、㊧の矢印のマークだ。
左に行けってこと?
私とあの男は、左に向かい行くが別の本棚にぶつかる。
行き止まりだ。何もないけど……?
「上を見てみろ」
上……?と覗いてみると1番上の本棚に
㊨の矢印マークが隠されていた。あ、あんなところに。
そうなると右に行けってことよね?
右に向かうと同じように矢印があった。
それを辿って行くと最後に絵が隠されていた。