それは、夜遅く私達は、とっくに眠る時刻だった。
厨房の勝手口の近くにあるが夜だとほとんど
誰も出入りしない場所に設置してあるベンチ。
そこにロンは、ワインをグラスに注ぎ飲んでいた。
するとエレンが勝手口から出てきた。

「あら。やっぱり……そこに居た。
私もワインを頂いてもよろしいですか?ロン様」

「エレンか。あぁ、そう思って君の分も用意した」

ロンは、そう言うともう1つのグラスを差し出した。
エレンは、クスッと微笑むとお礼を言い隣に座る。
そしてグラスにワインを注ぎ同じように飲んだ。

「しかし驚いたなぁ……まさかユリア様だけではなく
陛下まで一緒になって私達の後を追ってくるなんて。
しかも、どうやら君と私が恋仲だと勘違いしていたみたいだし」

「あら。可愛らしいではありませんか。
人の恋に興味を持たれるなんていい方向ですわ。
きっとユリア様と恋愛をしてまた大きく
成長されたんですよ」

「まるで母親のような言い分だな」

エレンの言葉にロンは、クスッと笑った。
するとエレンは、フフッと笑う。

「侍女になったのは、15歳の頃ですが
母から陛下の事は、よく聞いておりましたから
目線がどうしても母親になってしまうのです。
それに……ユリア様ったら面白い事を質問してきまして
私の好みの男性のタイプとか。もちろん素直に
伝えましたが……楽しませて頂ける男性が好みだと」

「君の楽しませるって違う意味だよな?
それだと陛下がそれに当てはまるが……」

「陛下は、あくまでも母親目線です。
確かに。あの方は、楽しませて頂いてますわ。
子犬みたいにキャンキャンと吠えるのに
ちょっとおまぬけで……ほんと見ていて飽きませんわ。
なんて可愛らしいのでしょうって」

うっとりと思い出すエレンを見て呆れたように
ロンは、ため息を吐いた。

「君は……本当にいい性格をしているな。
私も人の事は、言えないが……」