「あ、やっぱり。ユリア様。今すぐに陛下を
連れて戻って下さい。陛下は、猫アレルギーなんです」
猫アレルギー!?
ロンの言葉に驚いてしまった。えっ?
あの男って……猫がダメなの?
「宮殿の中で飼うと陛下が触りだかるので
あえて目に触れないように隠したのでございます。
猫の毛は、陛下にはよくありませんので……」
「そ、そんなこと……へっくしゅん」
確かに。猫の近くに寄ってからあの男の
くしゃみが止まらないようだ。アレルギーは、
場合に寄っては命の危険があるから大変だ。
私は、慌ててあの男の背中を押して連れ出した。
「お、俺は大丈夫だ……くしゅん」
「ほらほら。いいから、いいから」
強引に宮殿の中に押し込めたら落ち着いたようで
くしゃみをしなくなっていた。
もう……そういうことは、事前に言っておいてよ。
しかし、これで原因がハッキリした。
ロンとエレンは、恋中ではなくて
ただ猫を見つけてお互いに世話をしていただけだった。
なんだ……凄く残念だわ。
「まさか……子猫の世話だったなんて。
少しは、恋愛に発展しているのかと思って
期待していたのにな」
「お、俺は……そうではないかと最初から
思っていたけどな」
「嘘おっしゃい。絶対に気づいてないでしょーが」
「な、何だと!?」
またもやあの男と口喧嘩を始めてしまう。
まぁ、それはいつものことだからいいけど
それより結局。ロンとエレンの恋愛話は、私の
早とちりと言うことで終わることになってしまった。
残念……。だが、しかし。
私達は、肝心な部分を見落としていた。
2人は、確かに付き合ってはいない。
だが……まったく違う関係性があったことに。