はぁっ?悲痛な思いで来た?
思いがけない言葉に思わず顔を上げた。
せっかく来た人に対する態度?それ……。
すると鋭い目付きで私をジロッと睨み付けてきた。
その目付きの悪さに思わずビクッと肩が震える。
な、何よ……睨まなくてもいいじゃない?
ビクビクしているとその皇帝って男は、フッと笑った。
「嫁としてここに来たけど残念だったな。
俺は、貴様を嫁として接する気もないし
愛の言葉を囁くつもりもベッドで抱くこともしない。
今までのような生活を送れると思うな!
貴様は、あくまでも人質としてここで一生を送るんだ」
はぁっー!?
陛下の言葉に唖然とした。人質として一生?
話が違うじゃないのよ……それ?
なら何で皇后として私を選んだの?
意味分からないし。
それに私は、嫁としてここに来たつもりだ。
それなのにあんな具体的に言わなくても……。
「それは、話と違います!!
私は、国を守るためにあなたと嫁いだ訳で
あなたの言いなりになった訳ではありませんから」
あまりにもムカついたので言ってしまった。
アミーナもロバートという人も慌てる。
しかし陛下は、睨み付けたままだった。
「フン。いいなりになった訳ではないか……。
ならいいなりにさせるまでだ。俺が徹底的にな!」
「ご冗談を……」
お互いに火花が飛び散る。
普通なら無礼な態度なんだろうけど、私もこの性格
理不尽な事に黙ってはおけない。
周りは、青白くなり慌てて止めてくるが
もう言ってしまったから遅い。
結局話し合いどころかお互いに喧嘩腰になり
強引に外に出された。
アミーナには、首が飛んだらどうする気ですか!?と
叱られたが……。だって仕方がないじゃない。
あの態度に腹が立ったんだもん。
それにアミーナには言われたくないし。
ムスッとしていると1人の侍女がこちらに来た。
20代ぐらいで長い髪を1つにまとめて
三つ編みをしている小柄で可愛らしい女性だった。
「ようこそいらっしゃいました。私は、今日から
皇后様の専属侍女にさせて頂くことになりました。
エレンと申します」
この人も私を皇后と呼ぶのね。それよりも
専属侍女って……?専属侍女ならアミーナが居るのに。
するとそれにちょっとムッとするアミーナだった。
「専属侍女なら私だけで十分なんですが?」