「おい、ユリア!?何故行く?
待て……そんなの俺は、許可してないぞ」

必死に引き留めようとしている。だが私は、
無視してゼトリック様の手を取り走り出した。
そうなるとあの男は、慌てる慌てる。
席を立ち追いかけてきた。そして庭の方まで行くと……。

庭に電灯がつき明るくなる。
そこには、テーブルがセッティングしてあり
たくさんのお菓子が用意されていた。

「陛下。誕生日おめでとうございます!」

私やゼトリック様の他にアミーナやエレン。
そしてロンがお祝いした。
ゼトリック様と飛び出したのは、あの男を庭に
誘き寄せるため。こうでもしないと意地を張って
来てくれないと思ったからだ。

そしてたくさんのお菓子は、こっそり
パティシエに頼んで作ってもらった。
他国のお菓子もある。私も作るのを手伝ったので
ぜひ食べてもらいたい。

「これは……一体?」

「あなたが強情になっているから皆で
こっそり用意したのよ!
せっかくの誕生日なら、陛下が本当に
喜んで貰えるモノを贈りたかったの」

私は、笑顔で得意気にそう伝えた。
自分の誕生日なのに好きなモノを我慢するなんて
悲しいじゃない。するとあの男は、驚いていた。
だがすぐに……。

「お、俺は、甘いモノが嫌いだと言ったはずだが?
大体こんな頼んでいないものを……用意されて
俺が……喜ぶとでも……思っているのか?」

ちょっと……凄い憎まれ口を叩きながら
泣くのはやめなさいよ!?
あの男は、目をウルウルさせながら必死に
極悪非道を演じようとしているのだが、涙声で
言葉が詰まりながら言っていた。もう……まったく。
私は、呆れながらもあの男のところに向かうと
腕を引っ張った。

「ほら変な意地を張らないの。来て。
あなたのために私も作るのを手伝ったのよ」

「おい。俺は……」

私は、聞かずに強引にテーブルのところに連れて行く。
そして近くにあったベンチに座らせると
さらに私は、ケーキを乗ったお皿を取りフォークで
すくうとあの男に……。
「つべこべ言わずに食べてみてほら、あ~ん」と
言い強引に食べさせた。