そしてあの男のバースデーパーティー当日を迎える。
国内のあらゆる階級の人や招待された客人が
たくさんお祝いを兼ねて集まった。
一流シェフが作ったご馳走もたくさん運ばれ
ビュッフェ形式になっており、ホールの中央では、
招待客がダンスを楽しむようになっていた。
今回は、そこにはお菓子は用意されていないが。
「俺のためによく集まってくれた。感謝しよう。
今回は、盛大な宴だ。存分に楽しむがよい。
それと今日は、俺の誕生日以外で紹介したい奴が居る。
この女が俺のつ、妻になるユリア・アース皇女だ。
これから……お、皇后としてやるからよろしく……」
もう途中から私の自己紹介で噛んでいるし
声が小さくなっているわよ?
どうやら私の紹介には、緊張しているようだった。
ちょっと心配になりながらも上手く挨拶が終わる。
その後は、上の王座の席に座るのだが
もちろん私は、皇后の席に。すると周りの階級の
人達が順番に挨拶に回ってきた。
「皇帝陛下。お誕生日おめでとうございます。
良き日に誕生日を迎えられたことに感謝します」
「皇帝陛下。21歳のお誕生日おめでとうございます。
素敵な1年になるように心からお祈りしております」
次々に挨拶が周りそのたびに返事を返したり
自己紹介するのに疲れてしまう。
大変なのね……陛下って。
お腹も空いてきたし、あの作戦もそろそろやらないと。
様子を伺っていると最後にゼトリック様の番になった。
ゼトリック様は、お辞儀をする。
「アディ皇帝陛下。お誕生日おめでとうございます。
親友であるアディに幸せをお祈りしています」
頭を上げると私と目が合う。すると
ニコッと笑ってきた。あの目は、そろそろの合図だ。
私は、それに備える。
挨拶が終わると賑やかなダンスタイムになった。
そうしたらゼトリック様が私に向かってこう発言した。
「そうだ。ユリア様。良かったら俺と踊りませんか?
ずっと座っているのも退屈でしょ?」
ダンスのお誘いだ。
もちろんあの男は、はぁっ?とした態度になった。
だが私は、ニコッと笑顔を見せる。
「えぇ、そう思っていたところなの。
陛下だと踊ってくれなさそうだしお言葉に甘えて
ご一緒させてもらおうかしら」
大げさなように喜ぶとあの男の止める間もなく
私は、席を立ち階段を下りていく。
ドレスを踏まないように手で裾を上げながら
するとさらに慌て出すあの男は、怒り出した。