「そ、そうか……だったら俺との結婚を辞めて
そのミウラって男とくっつけばいいだろーが!!」
「えぇ……そうさせてもらうわ。
人質から解放されるなんて嬉しい限りだわ」
違う……なのにどうしてそうなるの?
結局あの男は、複雑そうな表情をしたまま
部屋から出て行ってしまった。
落ち込んでいるのかもしれない。……私もだが。
「もう……ユリア様ったらあんなことを言って。
どうするんですか!?本当に婚約破棄になったら
大変ですよ?」
「し、仕方がないじゃない。思わず口が出ちゃったのよ。
あぁ……どうしよう」
あぁ、何であんなことを言っちゃったのかしら。
三浦君となんて元の世界に戻らないと
くっつくも何もないし……あんな風に言ったら
落ち込ませるだけなのに。
自分で言っておきながら落ち込んでしまう。
ベッドの上に乗りながら唸っていた。
するとそれを見ていたエレンが困った表情をしていた。
「それは、困りましたわね。もうすぐ
陛下のバースデーパーティーもありますのに。
そこでユリア様を紹介する話もあったんですよ」
えっ?バースデーパーティー!?
嘘っ……聞いてないわよ。アイツもうすぐ誕生日なの?
私は、慌てて起き上がりエレンを見た。
「それ本当なの?私聞いてないわよ!?」
「えぇ……そうでしようね。今、言いましたから
来週に陛下のバースデーパーティーがありますわ。
国内の上流貴族やそれ以外の親しい方だけで招待されます」
ちょっと……肝心なことは、早めに言って!!
国内の上流貴族って……凄い人達が集まるじゃない。
何故、国内だけなのか分からないけど
「それに、このバースデーパーティーは、
誕生日のお祝いだけではなく甘党の陛下のために
いろんな国や有名パティシエから取り寄せた
お菓子がたくさん用意されるので有名なんですよ!
街の人達にもおこぼれとしてたくさん頂けるので
周りも大変楽しみにしていることなんです」
「えっ?ちょっと待って。アイツ甘党なの!?」
信じられない。見た目は、どう見ても
甘党には見えないのに……。
まさかの真実に驚いてしまった。意外。