「やぁ……ま、待ってってば……」
「嘘を言うな。こんなに欲しがっているくせに」
「違う……ダメ……ダメってば……」
結局。抵抗虚しくそのままあの男に抱かれてしまった。
もう……いくらなんでもあんなところで。
岩場ではなかったから背中などを痛めることはなかったが
何度もされて腰や足がガクガクだ……。
その後は、あの男に抱きかかえられる状態で
下までておりて行く。なかなか戻って来ないため
ロン達は、心配していたが……。
結局そのまま宮殿に戻って行く。
馬が走っている間もずっと抱きかかえられたように
あの男にもたれていた。心臓の鼓動が聴こえてきそうだ。
まったく。自分勝手なんだから……。
そう思うのにいつものように平打ちが出来なかった。
何で?本心は、嫌ではなかったっていうの?
そんなはずはないのに。私は、三浦君が好きなのに……。
しかしこの男の胸元に感じるのは、優しさと温かさだった。
しばらく走るとお城が見えてきた。
お城の敷地内に入るとアミーナとエレンが
心配そうに迎えに来てくれた。
するとぐったりしている私に気づき驚いていた。
「まぁユリア様!?どうなされたのですか?」
「心配するな。視察で疲れているだけだ。
そのまま俺が運ぶ」
あの男は、自分から私を運ぶと言ってきた。
視察が原因ではないのだが……。
そう言いたかったが否定するのも疲れた。
私は、言われるがままお姫様抱っこして寝室まで運ばれた。
寝室にある大きなベッドまで着くと
私を静かにおろしてくれた。
その際にあの男は、私の唇にキスをしてきた。
えっ……?
「大人しく寝ていろ。まったく体力の足りん奴だ」
それだけ言うと寝室から出て行った。
い、今の何?憎まれ口を叩いてきたが、まるで
恋人にするようなキスだった。いや……夫婦なんだけど。