1つ1つ語るあの男に驚かされた。
意思を変える気がなくても迷うこともあるんだ?
聞いたのは、意外な言葉だった……。
確かに自分が正しいと思ってやっていも
誰しも迷うこともあるわよね……人間だもの。
この男が何を考えているのか分からない。
分からないはずだった……でも民や国の事を考えていた。
彼なりに守ろうとしているんだ……?
この国を……。
それは、アース帝国と同様に。
もっと冷たい人だと思っていた。それこそ
血も涙もない冷酷で極悪非道な皇帝だと。
でも違った……、彼なりに苦悩し自分の力で民を愛し
大切に守ろうとしてやったことだったのね。
「ねぇ……もし私が……」
私は、そう言いながらあの男に近づこうとした。
自分が異世界の人間だと打ち明けたらこの人は、
私を受け入れてくれるのだろうか?そう考えたら
確かめたくなった。すると足を踏み外しそうになる。
キャアッ……落ちる!!
するとあの男は、慌てて私の手を掴むと
反対方向に倒れ込むようと助けてくれた。
抱き締められた状態になった。
び、びっくりした……落ちるかと思ったわ。
助けてくれたお陰で助かったけど心臓がまだ
ドキドキと高鳴っていた。すると怒りだした。
「危ないだろーが!!
もし落ちたらどうする気だったんだ!?」
「ごめんなさい……」
まさか落ちそうになるとは思わなかったが
それよりもまた私のことを心配してくれた……。
それがこの人の本心なのだろうか。
心臓が違う形でドキドキと高鳴ってしまう。
何だか恥ずかしくなって顔が見れなくなってしまった。
「どうした?顔が赤いぞ……貴様?」
「う、うるさいわね。放っておいて」
プイッと横を向いた。そして離れようとすると
あの男は、さらに私を抱き締めてくる。
ちょっと……何で!?
「は、離してよ……」