連れて行きたいところ?
えっ?それって何処?
あの男は、お金が払い終わるとさっさと店から出て行く。
私は、意味が分からずに後を追いかけた。

馬小屋近くに何人かの部下が待機していた。
ロンも居たがあの男は、
「ちょっと山の一本木まで行ってくる。
すぐに戻るからそこで待機していろ」と指示を出していた。

「は、はい。承知しました」

山の一本木?
するとあの男は、強引に私を抱き上げると馬に乗せてると
自分もその馬に乗った。えっ?ちょっと……。
理由の分からないまま馬を走らせてしまう。
向かう先は、山だった。森の中を馬で走り抜ける。

「ちょっと何処に連れて行く気よ?」

「黙っていろ。舌を噛むぞ」

舌を噛むの前に説明をしなさいよ!!
私は、心の中でツッコミながら必死にしがみついた。
しばらく走り続けると頂上付近になった。
あの男は、馬からおりると私もおろしてくれた。

そこには、1番大きい一本木があった。
私は、そこまで近づいて見ると……うわぁぁ……!!
そこには、国が一望出来る景色があった。

真っ青で雲一つない青空。
一番高い山なのか眺めも最高で街の中までよく見える。
凄い……なんて大きい国なの。
これがあの男が治めている国なのね。

アース帝国は、小さい国みたいだし、現実世界とも
また違った景色だ。
驚きながら眺めているとあの男が現れた。

「どうだ?エミリオン帝国は?
貴様にいかに、この国は大きいかを見せてやりたかったんだ」

「どうして私なんかに?」

あなたの国が大きいのは、話を聞いて知っている。
自慢でもしたいのかしら?
そう思って見てみると同じように景色を眺めていた。

「……俺は、自分の意思を曲げない。だが、どうしても
迷った時は、ここに来ている。
この大きな国は、俺が治めている。民も全て。
この国をもっと大きくする。世界の皇帝になるために
それを見つめ直す場所だ……ここは」