「はぁっ?武器屋だと?
そんなところに寄ってどうする気だ?」
「いいから、いいから」
私は、強引にあの男を連れて武器屋に入っていく。
小さな武器屋だが品揃えはいい方だろう。
弓矢や短剣、長い剣などもある。そして
隅っこに竹刀を発見する。あったわ!!
やっと希望の物を見つけることが出来て喜んだ。
「あの……すみません。これください」
私は、亭主であるおじさんに会計を頼んだ。
これがあれば、ちゃんとした稽古が出来るわ。
それにもし敵が来ても枝よりも効果が高いし
自分の身を守るためにも必要だ。
「そんな物を買ってどうするんだ?」
「あら私の大事な武器よ!これは。
悪い奴が来てもこれなら倒せるんだから」
あの男に見せるように素振りをする。
そうそう……この感覚。
握った時の竹刀の感触を確かめながら思った。
そうしたら亭主のおじさんがこちらに来た。
「これは、これは。陛下ではありませんか。
あ、それね……丁度2コインになります」
「2コイン?えっと……」
私は、慌ててポケットの中を探る。
あ、しまった。お金を持って来なかったわ!!
普段は、アミーナやエレンに欲しい物を頼んでいたし
そもそもこちらの世界のお金の単位が分からない。
2コインって何?日本円だといくらなの?
どうしようかと悩んでいたらあの男がポーチから
コインを出して代わりに払ってくれた。
えっ……?私は、あの男を見た。
「まったく。お金を持って来てないくせに
そんな物を買おうとするとかどうかしてる」
「いいでしょう……別に。
それより……ありがとう」
相変わらずの口が悪い。だが
文句を言いながらも竹刀を買ってくれた。
私は、ボソッとお礼を言う。竹刀をギュッと握り締めなから
するとあの男は、フンと言いながらも
「来い。連れて行きたいところがある」と
私にそう言ってきた。