「ねぇ話し合いとか出来ないの?」
「出来たら苦労なんかしませんよ!!
身を滅ぼしたくないから皆口をつぐむんじゃないですか」
それもそうか……。
アミーナの言葉に思わず納得する。
下手な事を発言して自分の首を絞めたら
意味がないものね。困った……。
しかし婚約の話は、そう待ってはもらえなかった。
それから数日後。催促の便りが来た。
向こうは、しびれを切らしているのかもしれない。
下手に怒らせたら厄介だし。
でもでも嫁に行くのもなぁ……。
頭を抱えながら長い廊下を歩いていた。
すると話し声が聞こえてきた。こっそり覗くと
こちらの両親だった。
「やはり娘を向こうに嫁がせるのは、
あの子が可哀想ですよ……」
「すまない。私の指揮が弱いばかりに。
せめて私の命を引き換えにしてでも娘だけは、
見逃してもらえるように頼むしかない」
「あなた。そんな……お辞めください」
「だが、こうでもしないと……納得しないだろう」
そ、そんな……!?
私が嫁がないとあの人が命を引き換えに?
いくら転生してここでは、優しくしてくれた
父親みたいな存在。それに、ここの皇帝だ。
そんな事をしたら、相手の思う壺だし皆も
混乱するに決まっている。
わ、私が嫁げば……どうにか収まるの?
本当は、凄く嫌。そんな……会ったこともないし
極悪非道な男とだなんて。でも……私が出ないと。
自分の中で必死に葛藤した。そして一大決心をする。
私は、部屋の中に入っていく。
「ユリア!?」
「私……その皇帝の元に嫁ぐわ」
「お前……それは、正気か!?」
「えぇ……本気よ。お父様。
それで国が救われるなら私は、人質でも
嫁にでもなってやるわ」