それから数日後。
傷も大分癒えて横っ腹のアザも消えかかってきた。
痛みもなくなってきたし、これなら早く治りそうね。
私は、全身が映る鏡を見ながら確めていた。
「良かったですね。傷ものにならなくて」
「えぇ……本当に」
アミーナが嬉しそうに言いながら
身支度を手伝ってくれた。多少ニヤニヤしているが。
するとエレンがドレスを片付けながら
「最近では、陛下との関係も良くなってきたので
喜ばしいことですわ」と言ってきた。
いやいや。全然良くなってないから!!
私は、そう心の中でツッコんだ。
あれからあの男との関係は、変わらない。
あの後もまた食事中に口喧嘩が始まったし、けして
仲良くなった訳ではない。
だが、少しあの男を見る目が変わった気がする。
見直したとかではないが、何だろう。
その隣に居るのが当たり前になっていた。
あの男もあの男で……。
「やだ。エレンも変なこと言わないで。それより
早く稽古の練習をしましょう」
私は、慌てて早く行こうと急かした。
あれから断られるが私は、何度も実戦稽古を
またやりたいと申し込んだ。
痛みがあったから、しばらくやれず見学ばかりだったけど
治ってきた今なら無理やりでも参加が出来る。
例えまた断られようが、実行あるのみ。
そう思いながら庭の方に向かった。
しかし庭まで行くが誰も居ない。
あれ?今日は、やらないのかしら?
いつもならこの時刻ぐらいに稽古しているのに。
私は、キョロキョロしていると他の部下を見つける。
慌てて何処に行ったのか?と聞くと
今日は、街中の視察に向かうらしい。
えっ?街中に視察に!?
な、なんで私に声をかけてくれないのよ!!
ここに嫁いでから街中に行ったことは一度もない。
行きたい……凄く。
もしかしたら竹刀か何か売っているかもしれないし
お城ばかりで飽き飽きしていたのよね。
すぐに今、何処に居るか聞くと馬小屋らしい。
馬に乗って街に向かうとか……。
こうはしてられないわ!!
私は、慌てて馬小屋に向かった。
すると丁度馬を連れて行こうとしたところだった。
ラッキー間に合ったわ。
「ねぇ私も街に連れて行って!」