「ユリア様。ご無理はしない方が……」
「大丈夫よ……これぐらい。アザや怪我なんて
剣道で慣れているわ」
「けんどう……ですか?」
心配して着いてきたアミーナとエレンは、
不思議そうに首を傾げた。
おっと……いけない。この世界では、私は
剣道なんてやったことが無かったんだったわ。
何でもないと言っているとロンが歩いているのが見えた。
あ、ロンだわ!!
ロンなら今あの男が何処に居るのか知っているはず。
私は、よろよろと横っ腹を押さえながら向かった。
「ロン。陛下は、何処に居るのか知らない?」
「ユリア様。お身体大丈夫ですか?
陛下なら今お風呂に入られています。今着替えを
持って行こうかと……」
お、お風呂……。
私は、どうするか迷ってしまう。
謝りに行くつもりだったけどお風呂に入っているとなると……。
でも、タイミング的に早く謝らないとまた
変な意地を張って謝れなくなってしまうわ。
「ユリア様……?」
「身体は、大丈夫。それよりそれ
私が持って行ってもいいかしら?私もお風呂に
入りたいと思っていたし……」
無理やりな言い訳を考える。
うぅ……自分で言うのが恥ずかしい。すると
何かを感じたのかロンは、私に着替えの服を渡してくれた。
「では、よろしくお願い致します。
2人共……後の事は、よろしくお願いしますね」
「はい。」
ロンは、アミーナとエレンに後の事を託した。
そして頭を下げると立ち去って行った。
私は、着替えの服を覗き込む。
自分から行くと言ってしまった……。
今までの私なら有りえないことだ。
それには自分でも驚いてしまった。
あぁ仕方がない……そう仕方がないのよ。
混乱する自分に何度も言い聞かしながら私は、
そのまま浴室の方に向かった。