するとあの男は、私のところに駆け寄ってきた。
そして、そのまま私をお姫様抱っこする。
えっ……ちょっと!?
「キャアッ!!えっ……ちょっと何するのよ!?」
「一大事だろーが!!黙っていろ」
あの男は、そう言うと慌てて私をお姫様抱っこしたまま
宮殿の中に戻って行った。その後、城の主治医である
医師に診てもらうことに。
診察結果は、ただの打撲だった。横っ腹の辺が赤紫色に
腫れ上がっていたが大丈夫なようだ。
アミーナ達は、良かった良かったと一安心する。
あの男を見ると診察の間。眉間にシワを寄せながら
腕を組んで私を診察を見ていた。
「心配かけたけど……もう大丈夫よ」
私は、気にしているのかと思いとりあえず
心配ないと伝えた。しかし黙ったまま何も言わず
部屋から出て行ってしまった。あれ……?
呆れたのかしら?それとも怒っているの?
意味が分からずにきょとんとしていると
エレンは、着替えのドレスを持って来る。
「ユリア様。心配いりませんわ。
陛下は、落ち込んでいるだけですので」
「えっ……落ち込んでいるの?あれって?」
どう見ても怒っているように見えるのだが?
凄い眉間にシワを寄せていたし……。
するとエレンは、苦笑いする。
「大変落ち込まれてますわ。平気なら
憎まれ口の一言や二言目言いますでしょ?
大切なユリア様に自分で怪我をさせてしまったのですから
落ち込むのも無理はないかと……」
エレンの言葉に驚いた。
あの男なら情けないとか言いそうなものだが
何も言わなかった。それは、落ち込んでいるから?
信じられないと思いつつも納得する部分もあった。
そうだとしたら悪いことしちゃったかしら……。
そもそもやりたいと言ったのは私だ。
なら怪我をしたとしても自己責任。
あの男が悪い訳でもないし気にする必要もない。
気にしているとしたら私が謝らなくちゃあ……。
私は、ドレスに着替えるとあの男に会いに向かった。
まだ横っ腹がズキズキと痛むが……それよりも
謝るなら早い方がいい。何処に行ったのかしら?