私は、すぐに枝を前に構えた。
身体は、こちらの異世界の姿だけど感覚などは、
そのままだから後は、自分を信じて踏み切るだけ。
私は、目をつぶり意識を集中させる。

アイツの隙を見つけてやる……。

しかし、いくら意識を集中させてもあの男の
隙が見当たらない。チラッと目を開けると
真剣な目で私を睨み付けていた。
さすがに国を仕切る皇帝陛下と言われているだけはある。
圧倒的なオーラと気迫に押し負けそうになった。
するとあの男は、クスッと笑ってきた。

「そんな甘い集中力では俺に勝てんぞ。早く来い。
いつまでも来ないと戦ならすでに殺されてるぞ。
腰抜けが!!」

うるさいわね!!
私は、勢いをつけて前に踏み切った。
「面!!」と言いながら後頭部を目掛けて。だがしかし
鞘で受け止められてしまう。くっ……!!

「踏み込みが甘い……」

そう言うと押し返してきた。
私は、よろめくがすぐに体勢を変えて
攻撃を続ける。胴や頭部を目掛けて……。
だがまったく動じないあの男は、全て鞘で受け止める。

確かに鞘でも十分に私と張り合っている。
だが私もこのままの訳ではない。急接近した時に
一瞬気が緩んだ隙を狙い後ろに回り込んだ。
そして、そのまま後頭部を狙った。
よし、決まった!

しかし、咄嗟の条件反射なのかあの男は、気づくと
向きを反転させそのまま私の横っ腹を蹴りあげた。
私は、そのまま横に弾き飛ばされてしまった。

「キャアアッ!!」

「キャアアッ……ユリア様!?」

私は、悲鳴を上げて倒れるとアミーナとエレンも
悲鳴を上げた。そして駆け寄って行く。
周りは、大変だと騒ぎだしている。

「お怪我は、ありませんか?ユリア様」

「えぇ……大丈夫よ。ちょっとぶつかった……イタタ」

心配そうに言うアミーナ。
大丈夫だと言いたかったが思ったよりも蹴りを
まともに食らったため痛みが走り踞った。
痛くて立ち上がれない……。