部下の剣を素早く避けるとそのままひじで
相手の背中を思いっきり叩きつけた。倒れると
そのまま剣を相手の首近くにつける。
本当の戦なら間違いなく部下は、死んだだろう。
あの男の鋭い目付きは、部下を睨む。
「隙があり過ぎだ。もっと気を引き締めて
相手の動きを読むように集中しろ!」
「は、はい。ありがとうございました」
怖いと思ったが、それ以上に凄いと思った。
あんな隙のない動きに集中力。それは、剣さばきは
かなりの実力者だろう。
剣道なら三浦君並み……いやそれ以上かもしれない。
私は、怒っていたことを忘れ感心していた。
そして私も一緒にやりたいと思うように。
だって、ここに来てからまともに誰かと
実戦したことがない。
私だったら……そう考えたら身体の底から
うずうずして心臓が高鳴りだした。
「あ、あの……私もやりたい」
堪らなくなり思わず私の口からそう言ってしまった。
すると周りの部下やあの男は、はぁっ?とした表情をされる。
するとアミーナ達は、慌てだした。
「ちょっとユリア様。そんな危ないですわ!!
いくらなんでも実戦稽古をやりたがるなんて」
「そうですわ。怪我でもなさったら大変です」
皇后がやりたいと言ってくるので、慌てて
やめさせようとするのも仕方がないことだ。
だが私は、それでもやりたいと思った。すると
それを聞いてはぁっ?とさらに言うあの男。
「やめておけ。これは、遊びではないんだぞ。
貴様みたいな女が相手をするほどこっちは、
暇じゃない。くだらない」
「そんなの分からないじゃない。
私は、その辺の女性と同じようにしないでちょうだい」
その言い方にカチンときた。
ちょっと馬鹿にしないでよ!!私は、これでも
剣道部の副主将だったのよ。
その辺の兵士や部下より強いし……。
だが信じてないあの男は、馬鹿にしたように笑う。
「そんなのは見れば分かる」
「あら。私と戦って負けるのが怖いの?
皇帝陛下の分際で」