「な、何で……あんたなんかに。やだ……離して」

「うるさい女だな……それにちゃんと名前で呼べ。
俺は、アディだ。ユリア……」

「やぁっ……アディ……んんっ……」

私達は、初めて1つになった。
その後の事は、覚えていない。だがアイツ……。
アディは、初めて私の名前を呼んだ。
その後も何度も……意識を失くす時まで。

そして目を覚ますと朝になっていた。
いつの間にか眠りについてしまったのだろうか?
カーテンの隙間から光が差していた。
眠い目を擦りながら起き上がろうとする。すると
ズキッと下腹部から痛みが走る。

その瞬間。夜の事を思い出してしまった。
わ、私……とうとうアイツと!?
横をチラッと見るとあの男は、まだ眠っていた。

ま、間違いない……隣で寝ているのが何よりの証拠だ。
ど、どうしよう……。
後悔とかよりも恥ずかしさでどうにかなりそうだった。

するとあの男は、モゾッと動き出した。
ま、まさか起きちゃった!?
だが、ただ寝返りを打っただけだった。

こちらを向くとそのまま眠ってしまう。
サラッと黒髪が目にかかっていた。
喧嘩ばかりするから、なかなかじっくり見えないが
本当に綺麗な顔立ちをしている。

目付きは、悪いがまつ毛もバサバサに長く
鼻筋もスッと高く全体に整った顔立ち。
元の世界ならモデルや芸能人も顔負けだ。
あの強情でツンデレな態度ではなかったら……。

私は、ソッと目にかかった髪を分けようと触れる。
するとそれに反応したのかパッと腕を掴まられ
押し倒されると枕の下に敷いてあったナイフを取り出し
私に向けてきた。ひぃぃっ!?

「キャアッ……や、やめて……」

「……ユリア……?」

どうやら寝ぼけて盗賊か何かと勘違いしたみたいだ。
あの男は、ハッとして止めてくれた。
すると気まずくなったのか、そのままベッドから
降りてしまった。

ちょっと……裸だから!!
私は、慌てて目線を逸らした。
朝から殺されそうになるし、肌を見るし心臓に悪い。