『ユリア皇女様へ。
昨日の夕食は、大変失礼しました。
本当は、楽しく食事をしたかったのですが
上手く言葉や笑えず……あのような態度になったことを深く反省しています。申し訳ありませんでした。
手紙の返事ありがとうございました。
凄く嬉しかったです。あなたの夫・アディより』

あ、反省している……。
手紙だとやや硬いが素直に謝罪とお礼を書いていた。
どうやら言葉にするとダメらしい。
素直なんだか、そうではないのかまったく分からない。
私は、ハァッ……と深いため息を吐いた。

それは、自分も同じか。
仕方がなくアミーナに手紙を書くためのレターセットを
用意するように伝えた。
そして私も言いたい事を伝えそれを字にして書いた。

『アディ皇帝陛下様へ。
続けてお返事をありがとうございました。
私も言い過ぎたと深く反省しています。
そのような気持ちだと知らずに申し訳ありませんでした。
私も楽しく食事が出来る事を願っています。
あなたの妻・ユリアより』

大げさな文ではあるが嘘ではない。
ちょっと言い過ぎと思ったし、楽しく食事が出来るなら
その方が私も嬉しい。
きちんとあの男に届けばいいのだが……。

エレンに渡すと喜んで、その手紙を陛下に
届けに行ってくれた。
これで少しは、彼の気持ちも変わってくれると嬉しい。

だがしかし。元々の性格は、そうは変わらない。
何故か顔を合わせれば余計な事を言い口喧嘩。
手紙では、それを謝罪し反省。
そして自分の気持ちを弁解しての繰り返しだった。

おかしい……。お互いに想っていることは、
同じのはずなのに……何故こうもすれ違うの?
お互いに素直になり仲良くやろうとしているのに
どうしても喧嘩になってしまう。

「もう……ユリア様ったら素直ではないのだから」

「わ、私のせいじゃないわよ!?
アイツが、素直じゃないだけで……私は……」

私は、どうしたのだろうか?
アミーナの言葉にムキになるが、確かに
私も素直ではない。つい意地を張ってしまう。
そうしたら私だって……少しは、素直に受け入れて
あれ?自分でもどうなりたいのだろうか?

自分の気持ちが分からなくなっていく。
そもそも想っている気持ちが同じって何?
それだと、まるで私があの男の事が好きみたいじゃない。

ち、違う……私は、好きじゃない。
あんな下品で野蛮な男なんて好きじゃない!!
私が好きなのは、女性らしく扱ってくれて優しくて
頼もしい三浦君みたいな男性だ。あんな奴……論外だし。