『ユリア皇女様へ。お元気ですか?
暖かい季節になってきましたが体調を崩してないか
心配です。慣れない生活だと思いますが
周りの侍女達に遠慮なく意見を言って下さい。
僕にも遠慮なく意見や相談をしてくれたら嬉しいです。
夜は、寒くなるのでお腹を冷やさないようにして
しっかり食事や睡眠をとって下さい。
あなたの夫・アディより』

アミーナが読み終わると私は、硬直する。
最後の方は、母親みたいだったわよ?
それよりも全体に硬い……そして……。
我慢らなくて思わず噴き出してしまった。

「ちょっと……何よそれ?
あの極悪非道な顔して……内容が真面目じゃない。
しかも相談してくれたら……嬉しいって」

笑いが止まらない。
もっとツンデレした言葉を送ってくるかと思ったら
年配の方が送ってくる内容だったり
母親が娘を心配するような内容だったなんて……。
アミーナも釣られてか笑いそうになっていた。

「ユリア様……ダメですよ~笑ったりなんかして
陛下が知ったら怒られますよ?」

「えっ……そう?ごめんなさい。
でも……可笑しくて……フフッ……」

こんなに笑ったのは、久しぶりだわ。
異世界に来てから笑顔を見せても本心で
笑えたことはなかった。だから余計に新鮮だった。
涙を吹きながら深呼吸をする。

「ねぇ……アミーナ。私……読み書きとか苦手だから
返事の書き方を教えてくれないかしら?
せっかく手紙をくれたのなら私も返さないといけないし」

「は、はい。喜んで」

アミーナは、嬉しそうに返事をしてきた。
せっかく手紙を書いてくれたんだから
私も返さないと失礼よね?やっぱり……。

そしてティータイムを終わらせると私は、
アミーナの指示のもと手紙を書いた。
なかなか思いを手紙にするのは難しかった。
慣れない英文もだが……素直になれないのは、自分も同じ。
それを言葉にしないといけないのだ。

アイツもこんな風に悩んで書いていたんだ……?
初めてお互いに同じ距離に立てたように感じた。
何だかくすぐったく嫌な気持ちではなかった。

時間が、かかったが何とか返事をかけた。
内容は……こうだ。

『アディ皇帝陛下様へ。
お手紙ありがとうございました。
読み書きが苦手なのでアミーナに教えてもらい
この手紙を書いています。
心遣いありがとうございます。まだ慣れない環境
そして生活の変化に戸惑い失礼な態度ばかりとってしまい
大変申し訳ありませんでした。
私も少しずつですが、慣れるように努力しますので
あたたかい気持ちで見守って頂けたら幸いです。
あなたの妻・ユリアより』