「実際に見た方が理解されると思いますので
せび私と一緒に来て下さい」

何故だか一緒に来てほしいと言ってくるエレン。
何だか普段の彼女と違い興奮気味だった。
私は、意味が分からなかったがアミーナと一緒に
彼女の言われるがままついて行くことにした。

向かった先は、あの男の執務室だった。
何で?と思ったがエレンは、こそこそしながら
こっち、こっちと手招きをしてきた。
首を傾げながらこっそり部屋の中を覗いてみると
あの男は、何やら書いていた。公務の書類?
だが何やら悩んでいるみたいで書いては、丸めて
ゴミ箱に捨てていた。

「あれが……何?」

「フフッ……陛下ったらユリア様にお手紙を
書いていらっしゃるんです」

はぁっ!?
エレンの言葉に衝撃を受けた。
アイツが……私にお手紙を?何で!?
驚いてエレンを見るとニコニコしていた。

「中々素直になられないので私が助言として
『ならお手紙を書いてユリア様に気持ちを伝えてみては
いかがですか?』とお伝えしたんです。
そうしたら私の意見を聞いて頂けたみたいで
今、その手紙を書いていらっしゃるみたいです」

そ、それで……あれってわけ?
驚きながらも、もう一度彼を見る。
頭を抱えながら書いては、また丸めてゴミ箱に
捨てていた。思い通りの言葉が書けないらしい。

「何ともユニークな光景ですね。ユリア様」

「そ、そうね……」

アミーナの言葉に私は、苦笑いする。
確かにお手紙で、あれだけ悩む男もなかなか居なくて
ユニークかもしれない。
しかも、それが極悪非道とか言われている男がだ。
一体何て書いて私に送りつけてくるのだろうか?
そう思うとちょっと楽しみに思えた。

あの男から手紙が届いたのは、あれから2時間経った頃だった。
随分と時間が、かかったものだ。
時計を見ると15時になっていた。
私は、ティータイムでケーキとお茶を飲みながら
その手紙の開けてみた。

だがしかし。よく考えたら全て英文で
私は、読むのに一苦労していた。するとアミーナが
「私が代わりに読みましょうか?」と言ってきた。
どうやら彼女の母親は、学童の講師をしていたらしく
読み書きを習っていたらしい。
手紙は、アミーナに読んでもらうことにした。