呆れているとエレンは、クスッと笑いながら
花瓶を窓際にあるテーブルに置いた。
日差しがいいから花がより綺麗に見える。
するとエレンは、私に

「実は、私……ユリア様の専属侍女でもありますが
陛下の内密なスパイでもあるんですよ?」と
驚くことを口に出してきた。えっ!?

スパイ!?やっぱり……。
アミーナが居るのにもう1人つけるとか
変だと思っていたけど、やっぱり私の行動を
探るためだったのね?
私とアミーナは、警戒するとエレンは、クスクスと笑う。

「あ、誤解なさらないで下さいませ。
私は、確かにスパイですが、ユリア様を陥れたり
行動を探るためではございません。
ただ陛下は、ユリア様の気持ちや好みなどを把握したくて
それを知るために私を侍女に入れたのでございます」

「私の気持ちや好みを把握するため……?」

「はい。もちろん国の事を知らないユリア様や
アミーナの手助けをするのも命じられています。
より快適に暮らせるようにと……」

アイツ……そこまでして私の気を引きたいの?
でも、それなら自分で聞けばいいと思う。
わざわざそんなことまでしてやる意味が分からない。
私は、あの男の気持ちが信用出来なかった。
それには、まだ警戒心が取れていないからかもしれないが

しかしあの男の行動は、まだ続いていた。
次の日には、違う花をエレンに持たせていた。
また次の日にも……。
私の部屋が日に日に花が増えていく。

「エレン。そろそろ陛下に花を持たせるのを
やめてもらうように頼んでくれる?」

「そうですね……さすがに増え過ぎですよね」

エレンは、苦笑いしていた。
さすがに、このまま続けさせると広い部屋も
あっという間にお花畑になりそうだ。
どうしたものか……。

それだけではない。庭で稽古をしていれば
決まってあの男は、木の影で覗いていた。
声をかける訳でもない。
会えば態度は変わらないままだし、ムカつくのに
日に日にその態度が気になり始めた。
素直になればいいのに……と思うように。

そんなある日。エレンは、クスクスと笑いながら
語学勉強のために読書をしている私のところに来た。
「ユリア様~面白い事が起きてますわ」と言いながら
何だか楽しそうね……どうしたのかしら?

「どうしたの?何かあったの?」