思わないあの男の気持ちを知り私は、動揺する。
まともな恋愛をしてないのも自分も同じだ。
告白もしたことが無ければ、告白されたこともない。
そんな私に恋愛のフラグが立つなんて……誰が
思うだろうか?

「良かったですね……ユリア様」

「よ、良くないわよ!私は、そんなつもりないし
あの男の気持ちを知ったからって
あの男がした事が許される訳ではないわ」

だって……アイツは、敵なのよ?
アイツのせいで国が滅びかけたのだし
何人者の兵や部下が死んだ。それに……それに。

私は、逃げるように早歩きをしてその場を後にする。
アミーナは、慌てて私を呼び追いかけるが
今は、頭が混乱して聞けなかった。
すぐにそうなんだって受け入れられなかった。

部屋に戻るとそのままベッドにダイブした。
今は、何も考えなくなった……。
アミーナは、それ以上何も言わなかったが。

その日は、頭がいっぱいで眠れなかった。
翌朝。一睡も出来なかったから眠たかった。
ぼんやりする中……アミーナとエレンにドレスを
着替えさせてもらう。

「大丈夫ですか?ユリア様……」

「大丈夫よ……それぐらい」

本当は、眠いけど……。
あぁ……一層全て夢だったら良かったのに。
目を覚ましたら現代に戻り普通の高校生活が待っている。

そんなことにならないかしら?
すでに現代の事が夢ではなかったのだろうかと
思えるほど、この世界に慣れてきていた。
だが忘れてはいけない。
私は、この世界の人間ではないことに……。

だから恋愛とか恋とか
今は、考えられないのよ……実際。
元の世界に戻ったら私は、普通の人間。
現役の女子高生なのだ。
私は、深いため息を吐くとダイニングルームに
向かった。朝食を食べるために……。

席に向かうとすでにあの男が居た。
しかし私を見るなり目線をプイッと逸らしてきた。

「何だ……人質の存在で陛下の俺より
遅れて起きてきたとか言うのか?
随分とご立派な存在だな。人質のくせに……」