「アミーナ。あぁそれはいいのよ。
私も今、戻ろうとしたところだから丁度良かったわ。
それよりも本当なの?あの男が初めてで
ビビって部屋に来なかったって?」

「皇后様。ビビってって……」

私は、真意を確かめたくてアミーナに聞いた。
兵は、私の言葉に驚いていたが……。
するとアミーナは、あぁと言いながらため息を吐いてきた。

「えぇ……本当みたいですわね。私は、ロンって方に
聞いたのですが今まで他の女性を相手にしたことは、
無かったみたいです。驚きましたわ。
てっきりいろんな女性に相手をさせていたと
思いましたのに……。でも色々と話を聞いて
ようやく意味が分かりました。ユリア様に対して
何故人質とか婚約の話が出たのか」

「えっ……?どういう意味?」

何か他にも理由があるの?
私は、てっきりアース帝国が自分に逆らわせないために
娘の私を人質として選んだのだと思っていたが。
アミーナは、何故かニコニコしていた。

「それは、愛ですわ。愛。
陛下は、ユリア様に一目惚れしていて、どうしても
敵国ながらユリア様をお嫁にしたくて
強引に話をこじつけたらしいのです!
なので最初から皇后としてお迎えするつもりだったと
聞きましたわ」

ひ、一目惚れ……私を!?
ちょっと待って……アミーナ。冗談にもキツいから
あの男が私に一目惚れする訳じゃないし。
それに現に部屋に来ないし……。

「それは、無理があるんじゃない?
いくらなんでも……あの男が私に一目惚れとか」

考えただけでも想像がつかない。
すると兵の人が「あの……」と声をかけてきた。
私は、見ると困った顔をしながら
「お話中に勝手な発言失礼します。
それは……あるんじゃないでしょうか?」と言ってきた。

えっ……?
私は、兵の言葉に驚いた。
兵は、頭をかきながら片方の兵を見る。
するともう1人の兵が話してきた。

「陛下は、大変純粋な方です。
今まで女性を宮殿に招き入れたことも夜伽として
部屋に入れた姿を見たことはありません」

そうなの……?嘘だと思ったが
兵が嘘をついているようには見えなかった。
だとしたら兵の言葉もアミーナの言葉も本当になる。
あの男が……私を?

えっ……それって好きだってこと?
考えただけで顔から火が出そうになる。
だったら何故あんな態度を取るのよ?
ちゃんとしてくれたら私だって……。