しかし、30分が経とうが1時間過ぎようが
あの男は、現れなかった。何故……!?
もしかして拒否られた!?

いや。確かにベッドで抱かないとか言われたけど
一言ぐらい報告してくれても良くない?
そもそも女を待たせておいて現れないとか
失礼じゃない!!
そういう事にならなくて良かったはずなのに
それは、それで腹が立った。まるで私が
女として魅力がないみたいじゃない。

そりゃあ男女と言われたりしたけど、少なくても
今の私は、それなりにイケてると思う。
顔は、あれだけど……金髪碧眼だし。
明日文句を言ってやる。いや、それよりも
それなら自分の部屋に戻ろう……。
私は、腹を立てながら部屋から出た。
すると外に兵が2人見張りをしていた。

「皇后様。どうかなされましたか!?」

「あの男……陛下が来ないから戻るのよ!」

「そ、それでしたら数十分前に来られましたよ」

はぁっ?数十分前に来た!?
来たって……まったく部屋に入らなかったわよ?
兵の言葉に私は、驚いた。

「でも部屋に入らなかったじゃない!?」

「それがですね……来たのは、来たのですが
散々部屋の前で迷われていて
最終的には、諦めてしょんぼりと自分の部屋に
お戻りになりました」

はぁっ!?部屋の前まで来て帰ったの?
しかも諦めてしょんぼりと帰ったって……どういう事!?
私は、兵の言葉にさらに衝撃をうけた。

「何でよ……?」

「まぁ……あれですよね。自分が言った手前
後に引けなくなったんじゃないですか?
それに……あの方。初めての事ですし
緊張なさっていたようだし……なぁ?」

兵の1人がそう言いながらもう片方の兵に
同意を求めた。もう1人もうんうんと頷いていた。
は、初めて……!?
あの何人もの女性を相手したような顔をしているのに。
極悪非道な男なら何人もの女性を相手するぐらい
平気だと思っていた。むしろ私みたいな女は、
馬鹿にしてきそうだと……。初めてなんだ……あの人。

意外な真実に驚いてしまう。すると
アミーナがバタバタと走りしながらこちらに来た。

「すみません……ユリア様。
陛下の事情を後で聞いたのでお迎えに上がるのが
遅れてしまいました」