「……せっかくだからこちらで頂くわ。それと
皇后はやめて。まだ正式に皇后になった訳ではないし」
私も意地を張りそう言った。するとロンは、
ニコッと微笑んできた。
「承知しました。ではユリア様と呼ばせて頂きます。
すぐにユリア様の分を用意させます」
ロンは、そう言うと頭を下げてアミーナと
エレンに目で合図を送った。
アミーナとエレンは、理解したのか頭を下げ
ロンと一緒に席を外した。他の侍女達も
アミーナまで行かなくてもいいのに!
急に2人きりにさせられたので変に緊張してきた。
ドキドキしながらあの男を見る。
するとまたあの鋭い目付きで私を睨んできた。
思わずビクッと震えるほどに。
えっ?さっきの態度後悔していたんじゃないの?
まるで私が来たのが気に入らないみたいだ。
やっぱり何かの勘違いじゃないだろうか?
だって怖い……。
どうしたものかと悩んでいるとあの男が口を開いた。
「何だ……怖じ気づいて部屋に籠っていたのかと
思っていたぞ?よく俺の前に来れたものだな」
偉そうに見下すようにそう言ってきた。
はぁっ?何なの……その態度。
せっかく同情して一緒に食事をしてあげようと思い
同じ席に座ったのに。
まさかまた馬鹿にされるなんて思わなかったため
余計に腹が立ってきた。
やっぱり戻ろうかしら……自分の部屋に。
するとロンがワインとグラスを持ってこちらに来た。
「陛下。またそのような態度で……いい加減にしないと
本当に嫌われてしまいますよ?」
側近にしては堂々とあの男に発言するロン。
するとカッとしたのか怒り出し立ち上がった。
「うるさい。ロン……貴様。
陛下の俺に楯突く気か!?それは、重罪だぞ?
死刑にでもなりたいのか!!」
凄い剣幕でロンに叱りつけた。
えぇっ?それぐらいで重罪!?
ちょっと意見を言っただけじゃないのよ!
私は、驚いて止めるべきか戸惑った。しかし
ロンは、グラスとワインを置くと平然と
グラスにワインを注いだ。
「どうぞ……ご自由に。それでしたら
陛下自身の指示で私を死刑にしてくださいね?」