「それが食えないって言っているのだが。
まぁ……君らしいけど」

呆れながらもクスッと笑うロン。
エレンは、ニコッと微笑むとロンの膝の上に座った。

「フフッ……でもあなたの子供を授かって
嬉しいと思う気持ちは、本当よ?
だって……遺伝子的にも最高で、こんなに
素敵な男性は、そうそう居ないもの」

「……どうだか」

そうお互いに言いながらもキスをしていた。
のちにエレンは、男児を出産することになるが
それは、もう少し先の話だった。

私は、それから冬になり春になると出産の日を迎えていた。
臨月になったお腹は、いつ産まれてもおかしくない。
ソファーに座りながら編み物をしていると
何だかお腹の辺りがチクチクしてきた。

「おかしいわね……?朝からずっと痛い」 

大きなお腹を擦りながら呟いた。
だがその痛みは、時間が過ぎることに酷くなっていく。
や、やっぱりおかしいわよ……痛い。

ハッと思い時間を測る。
しばらくして陣痛が10分間隔になってきた。
(または1時間に6回以上陣痛が来た時)
いよいよ本格的に陣痛がスタートしたのだろう。

私は、慌ててアミーナを呼ぶ。
エレンは、すでに産休に入っていた。
アミーナに助産婦を呼ぶように指示を出した。
それとあの男も呼ぶようにと……。

待っている間にも破水をしてしまう。
うぅっ……ヤバい。本当に……。
しばらく経つと助産婦とあの男が慌ててこちらに来た。

「大丈夫か?ユリア……辛そうだぞ!?」

「大丈夫……それよりも手を握っていて。
うっ……痛い、痛い~」

あの男に手を握ってほしいと頼むが
それよりも痛さでどうにかなりそうだった。
必死に痛がる私を見てオロオロしていた。