「えっ?だからどうしてエレンの妊娠に
ロンが関係あるんだ?」

この状況にあの男は、まだよく分からないようで
はてなマークをつけながら質問をしてきた。
私達は、それを聞いてフフッと笑うのだった。

しかしその裏には、こんな事情があったことは、
私もあの男も知らなかった。
それは、その日の夜のことだった。

いつものようにロンは、厨房の勝手口の近くにある
ベンチに座っていた。
するとエレンが勝手口から出てきた。

「やっぱりこちらにいらっしゃったのですね」

エレンは、ロンを見るとクスッと笑った。
彼の手には、ワイングラスが……。
そしてエレンを見るとハァッ……とため息を吐いていた。

「まさか。君が妊娠するとは驚いたよ。
気を付けていたはずだが……何をした?」

「ちょっと工夫を……フフッいいじゃないですか?
私は、常にあなたの子供を産みたいと思っていましたのよ?
侯爵家の血を引いたあなたの子供。絶対に優秀ですし
何より皇帝とのお子様と同い年になるのですから
きっと仲良くなれますわ」

ニコニコしながら言うエレンにロンは、ハッとする。

「まさか……俺らの子と陛下の子をくっつけさせる気か!?」

「あら、人聞きが悪いですわ。どちらも
性別が分からないのに。ですが、せっかく産むなら
陛下とユリア様の子が同性同士なら親友に。
異性なら恋仲になったら素敵なことですわね」

全て作戦だったように笑みをこぼすエレンに
ロンは、呆れたような表情をしていた。

「君って人は……やはり食えない女だ」

「お褒めの言葉、光栄ですわ。
ただ勘違いなさらないで下さいね。
私は、あくまでも国の未来のためにしたことですわ。
それに2人のお子様なら将来も有望でしょうし
何より、これから子供を通してさらに面白くなりそうで
ワクワクしてますの」