そして、この世界に残って数ヵ月後。
そんな私達にある奇跡が起きた。

「えっ?子供がデキた!?」

「うん。最近熱っぽくて胃もムカムカするから
変だなぁ~と思っていたんだけど
今日医師に診察してもらったらデキていたみたい」

私達に子供がデキた。
何度も夜を共にしているし、デキたとしても
何の不思議でもないが、いざそうなると不思議な感じだ。

異世界に残ることに決心したけど
まさかこの世界で新しい生命を授かるなんて
あの時は、考えもしてなかった。
私は、ソッとお腹に触れてみる。まだお腹は、
出ていないけど……ここに居るのね。

あの男は、喜んでくれるかしら?
そう思いながら見てみると目をキラキラさせて
頬を赤く染まっていた。よ、喜んでいる……。
するとハッとしたのか。プイッと横を向いてきた。

「そ、そうか。まぁ俺は、貴様に子供が授かろうが
知ったことではないがな。今……何ヵ月目だ?」

「3ヶ月目ですって。来年の春ぐらいには、
産まれるみたいよ」

「あ、来年の春だと!!そ、そうか。春か……」

フフッ……無理しちゃって。
興味ありませんという態度をしているが
表情は、反対に嬉しそうだ。
きっと楽しみにしているのだろうと思ったら
クスクスと笑ってしまった。

早く産まれて来ないかなぁ……。
そう思いながらまたお腹を撫でていた。
だが初めての妊娠。不安もあった……。

数日経った頃には、つわりが酷く食事も通らない。
食べては、吐いての繰り返しで辛い。

「気持ちが悪い……」

「大丈夫ですか?ユリア様」

「うん。何とか……ギリギリ大丈夫」

嘘です。本当は、また吐くかも……。
アミーナに心配かけまいと平気なフリをするが
さらに胃がムカムカしていた。
つわりは、人によって様々らしいけど安定期に入るまで
気を付けてないといけないわね。