……確かに驚いた。そこまで私と離れたくないと
自分の口から言ってくれたからだ。
ツンデレで素直に自分の本音が言えないあの男だったが
そこまで必死なんだと理解した。

本当に……困った人ね。
私は、涙が止まらなかった。

何事も必死で……でも不器用な人。
きっと異世界に帰ってしまったらこの人は、
相当落ち込むかもしれない。
嫌われたと思った時も落ち込み方が凄かったし。

それに、本当のこの世界の彼女は、この男に対して
心を開いてくれるとは限らない。
婚約が決まった時もあまりのショックで倒れたらしいし
もし全力で拒否られたら……この先が心配だ。
結局、何やかんやといい訳を並べてみたが私は、
この世界が好きになっていた。

何よりこの男……アディ・エミリオが好きになっていた。

私は、思わず駆け出しあの男の背中に抱き付いた。
涙を流しながらギュッとぬくもりを感じるように。
あの男は、驚いたようで肩をビクッとさせていた。

「ゆ、ユリア……!?」

「私も……本当は、帰りたくない。
あなたと一緒に居たい……」

本当は、ずっと前からそうだったのだろう。
自分で言い訳をして必死に誤魔化していただけ。
彼がツンデレなら、私も相当なツンデレだ。

あの男は、振り向いてくれた。そして
私をギュッと力強く抱き締めてくれた。

「じゃあ……一緒に居てくれ。俺の権力も財産も
全てユリアにあげるから。俺の妻としてそばに居てほしい……好きだ。ユリア」

「……うん。」

私は、コクりと頷くとあの男は、涙をいっぱい溜めた
瞳で私を見つめるとニコッと微笑んでくれた。
その微笑みは、極悪非道と言われてきた皇帝ではない。
人一倍純粋でツンデレな男だった。
クスッと私も微笑むと唇にキスをした。

私からしたのは、何回目だろうか?
軽いキスをすると唇を離す。するとあの男は、
求めるようにさらに深いキスをしてきた。
いつの間にか夢中になっていた。この男に……。