「も、もちろん。一生好きに居るに決まっている!」

「そう……それならいいの。私も同じよ!
あなたを一生好きでいるわ」 

無理やり愛していると言わせるよりも
好きだと言葉に出すように仕向けた。
本当に……素直じゃないのだから

私は、呆れながらもため息を吐くと
彼の唇にキスをした。誓いの口付けだ。
すると周りは、さらに拍手と歓声が上がった。
あの男は、まさかキスをされるなんて思わなかったらしく
唇を押さえて真っ赤になっていた。

まぁ……これで良しとしますか。
私は、フフッと笑うのだった。
こうして無事に皇后としての戴冠式が終わった。

私達は、宮殿に戻るとシャワーを浴びて食事を済ませると
あの男と一緒にソファーで一息ついた。
外は、いつの間にか綺麗な月が輝いていた。
すると何処からか声が聞こえてきた。

『戴冠式おめでとう。庭の噴水のところまで来て。
君が元の世界に帰りたいのなら』

えっ……元の世界!?
何処からか聞こえたのか分からない。
慌てて立って周りを見渡すがあの男以外居ない。
あの声……聞き覚えがある。
私がここに来る前……黒猫を助けた時に
聞こえてきた声だわ。間違いない!!

「どうしたんだ?」

「た、大変。声が聞こえたの……私行かなくちゃあ!!」

心配するあの男を振り切って私は、慌てて
寝室から出て行く。
もしかしらあの黒猫が?どちらにしても
元の世界に帰れるかもしれない。
そう思えたら居ても立っても居られなかった。

私は、廊下を走り庭に出た。噴水。あそこね?
急いで噴水のある場所に向かう。

「待て。ユリア……何処に行く?」

あの男も慌てて私を追ってきた。
ごめんなさい。でも私……行かなくちゃあ!!
呼び止める声を無視して噴水のある場所を目指した。