あー言っちゃった。
私も周りもコントみたいならズッコケをしてしまう。
あれほど緊張しないように何度も練習したはずなのに。
練習の時も散々噛むし
正反対のことを言い出したりするため
1人でひたすら練習したらしい。
何で本番でやるかなぁ……?
やっぱり1人で練習させるより、私を目の前にして
練習させた方が良かったかしら。
そういえば私は、未だに、この男に
愛していると言われたことはない。
「へ、陛下……反対です!
否定してどうするのですか?」
「う、うるさい。仕方がないだろ。
そんな皆の周りに言える訳ないだろ。大体
好きな女を目の前にして恥ずかしくて言えるか……」
ロンの言葉に耳まで真っ赤にさせて言うあの男だった。
えっ?好きな女が目の前にしたらって……。
それってある意味プロポーズじゃあ?
あ、もしかして……。
「と、とにかく王冠は、渡したからな。
俺は、宮殿に戻る……」
すると恥ずかしくて居づらくなったのか
早く城の中に入りたがるあの男。あ、待って!
それだと中途半端で終了になっちゃうじゃない。
私は、慌ててあの男の腕を引っ張った。
「待って。今出ていったら中途半端よ!
やるなら最後までやらなくちゃあ」
「うるさい。王冠を渡したからもういいだろ?」
「ダメです。それよりも陛下は、私のこと好き?」
「えっ?あぁ……好きだぞ」
やっぱり。あの男は“愛している”と言う単語は、
異常に照れてしまい反対のことを言ってしまうけど
“好き”の単語は、素直に口に出せるらしい。
その違いは分からないけど……それなら
「じゃあ……あなたは、私を妻として
晴れる時も病の時も一生好きでいてくれますか?」