そして帰国から1ヶ月後。
私は、晴れて皇后の戴冠式を行われることになった。
この日のために色々準備をしてきて、たくさんの人が
お祝いに駆け付けてくれた。

チャールズ帝国のゼトリックもお祝いに来てくれる。
私の今の両親も……。

「おめでとうユリア。とても綺麗だ」

「フフッ……ありがとう。ゼトリック」

「気分は、どうだい?正式に皇后になる気持ちは」

「何だか変な感じ……」

これで本当に皇后として即位することになる。
皇后になれば皇帝のあの男を支えるだけではなく
国を守る立場になるのだ!
普通の女子高生だった……私がだ。

実感湧かないというか不思議な気持ち。
それに……また戸惑いもある。いいのかしら?
異世界の私が正式に継いでも……。

するとゼトリックは、私の頭を撫でてきた。
えっ……?
驚いてゼトリックを見るとニコッと笑ってきた。

「皇后を継ぐことは、不安もあるかもしれない。
でも、これだけは忘れないでほしい。
君が選んだ道は、けして間違いではない。
アディ自身も。あんな奴だけど、よろしくね」

私を励まそうとしてくれたのだろう。
君が選んだ道は、間違いではないか……。
そうよね。私は、それを受け入れたのだから。

「ありがとう……ゼトリック」

ちょっと気分が晴れてきた。
ニコッと笑顔で言っているとあの男がそれに気づいて
慌てて戻ってきた。

「おい、ゼトリック。何、人の妻に
ちょっかいをかけているんだ!?」

「ちょっかいじゃないよ。ただの励ましとお祝い。
あまりユリアを困らせるなよ?
お前は、すぐに余計なことを言うから……」

「うるさい。そんなの俺の勝手だ!」