明らかにいつものツンデレじゃない。
私は、戸惑っているとロンが戻ってきた。
あ、いいところに……。

「ロン。大変よ!陛下が目を覚ましたのだけど
様子がおかしいの。変って言うか……」

「えっ……?」

ロンは、あの男を見る。すると
あの男は、ニコッと笑った。ねぇ変でしょ?
するとロンは、クスッと納得したように笑った。

「あぁ……心配はいりませんよ。
熱を出した陛下は、大体あんな感じですから」

「えっ?どういうこと?」

「陛下は、今熱で思考回路が回ってないので
ツンデレのツンの要素が抜けています。
なので今は、素に近いですね」

えっ!?そうなの?
ロンの言葉に、さらに驚いた。
今の状態が素に近い……?
ならアレが本来のアディってこと?

「なら、あれが素なの?」

「はい。熱が下がれば元の陛下にお戻りになるので
しばらくは、この状態を楽しんでください」

この状態で楽しめてと言われても……。
ロンの言葉に戸惑っているとドアがノックされる。
誰だろうか?アミーナかしら?
返事をすると中に入ってきたのは、ここの世界の
両親だった。

真っ青になっている両親は、あの男を見ると
土下座するように謝ってきた。えぇっ!?
私は、驚いて唖然とする。

「話は、全て執事のロバート様から聞きました。
申し訳ありませんでした。犯人が盗賊だと知らず
疑うような真似をしてしまい……」

怯えたように何度も頭を下げていた。
どうやら誤解だと理解してもらえたようだ。
良かった……このままだとまた戦争になりかねないものの。

そうなると後は、あの男の態度次第だ。
私は、心配そうにあの男を見るとニコッと笑うと
「いいよ。間違いなんて誰でもあるし
誤解が解けて良かった」と快く許してくれた。