「そ、そうね……」
確かに。あの男の性格なら無理やり理由をつけてでも
様子を見に行ってくれたかもしれない。
そういう人なんだ……この人は。
私は、あの男の方を見る。するとロンが
「ユリア様。心配しなくても陛下は、強い方です。
それよりも陛下は、熱を出しやすい方でもあるのですが
そうすると面白い現象が起きるんですよ!」と言ってきた。
面白い現象?何よ……それ?
きょとんと首を傾げるとロンは、クスッと笑った。
「それは、陛下が起きたら分かりますよ!
とりあえず無事で安心しました。
今回の件は、私の方からユリア様のご両親に
説明しておきます」
ロンは、さらりとそう答えた。
もう……ちゃんと教えてくれてもいいのに。
不安がっているから、励ますために言ってくれたのかしら?
それとも何かあるって言うの?
私は、意味が分からなかったがその意味は、
看病して2日目でようやく理解した。
あの男の熱は、37度ぐらいまで下がり安定してきた。
まだ熱があるけど、もう大丈夫だろうと医師も言っていたし
するとあの男が目を覚ましたようだ。
良かった……意識が戻ったのね!?
するとボーとしているようだが起き上がってきた。
「あ、ダメよ……寝てないと。まだ熱もあるのよ?
ここは、私のお城でアース帝国。
あなたが怪我で倒れたから慌てて運んだの。
覚えている?」
認識確認のために軽く説明と質問をする。
そうしたら私の顔を見るならニコッと微笑んできた。
えっ……?
「うん。覚えているよ!ユリア」
まったくあの男だと思えないほどの笑顔だった。
しかも普通に名前で呼んでいるし。
笑う笑顔は、眩しいぐらいにキラキラしていて
可愛らしい……じゃなかった。
一体どうしちゃったのよ!?
「あなた……陛下よね?エミリオン帝国の」
「うん、そうだよ。僕は、エミリオン帝国の皇帝
アディ・エミリオンだ」
僕……?しかもニコニコしながら答えてくれた。
まるで別人のような表情で。
えっ?ちょっと……待って。どうしちゃったの?
怪我や熱で頭がおかしくなっちゃったの?