「いいから戻れ。足手まといだ!」
強い口調で言ってくるあの男に私は、動揺する。
相変わらずキツい言い方だが、彼の優しさが出ている。
私の体力を心配してくれているのだろう。
限界がこれば判断も鈍る。
私は、グッと我慢して頷くとダッシュで
馬車まで向かった。お願いだから死なないでよ!!
馬車まで行くとドアを叩きアミーナを呼んで
急いで中に入れてもらった。
「ユリア様。大丈夫ですか!?お陰は……」
「大丈夫よ……怪我もしてないし疲れただけ」
走ってきたので息を切らしながら言う。
するとある事に気づいた。落ち着きながら
木刀を見ると深いひび割れが出来ていた。
このまま攻撃をしていたら確実に折れていただろう。
あの男……それに気づいて強く言ったのだろう。
本当に敵わないわね……。
「ユリア様?本当に大丈夫ですか?」
アミーナは、心配そうに言ってくる。
私の目には、涙が溢れていたからだ。
お願いよ……どうか無事で。
それから盗賊の戦いは、何とかあの男達の
勝利で決着がついた。
何人か犠牲が出てしまったが、最小限で済んだのは
日頃からあの男に鍛え上げられたからだろう。
盗賊は、壊滅にすることが出来たが
あの男は、私を庇ったせいで右腕を負傷してしまった。
慌ててハンカチなどで血を止めようとするが
なかなか出血が止まらない。熱もあり苦しそうだ。
大変……このままだと出血大量で死んじゃう。
「ど、どうしたら……あ、そうだ。
そのままアース帝国に行くわよ!
そちらの方が近いし、あそこなら医師が居るわ」
あの極悪非道だと言われていた男を連れて
帰ってきたら、さぞかし驚いて腰を抜かしそうだが
今は、そんなことを言っている場合ではない。
急いで行くように指示を出した。
残りの兵達は、エミリオン帝国に連絡。
その間に私達は、そのままアース帝国に向かった。
近くにあったアース帝国は、すぐに着いた。
すぐに宮殿に向かい知らせで、迎えを待っていた
こちらの両親に医者に診てもらえるように頼んだ。