「でも、俺にも一つだけ言えることがある」
「言えることって?」
「ボンドなんかなくても、好きな子と付き合える」
太一の真っ直ぐな言葉に、手塚は腹を抱えて笑い出した。
「な、何で笑うんだよ」
「いや、悪い。太一って本当に馬鹿正直だよなって思って」
「……うるさい」
馬鹿正直のどこが悪い。自分の気持ちを素直に言うことに、悪いことなんてない。むしろずっと言えずにいることの方が問題ではないかと、太一は自分の考えを正当化する。
「まあ、その馬鹿正直なところが幸運の女神を引き寄せたのかもしれないな」
「幸運の女神?」
「柊さんのことだって」
手塚はそう告げると、再び歩き始めた。太一も手塚の一歩後ろをついていく。
「今まで振られまくってた太一を彼氏に選んだんだ。選ばれた太一からしたら、柊さんはそれくらい大きな存在って言ってもおかしくないだろ」
「……たしかに。でも俺と柊は、互いに気持ちが通じ合ったからこそ付き合うことになったんだ。それはわかってほしい」
「わかってるって」
片手を挙げて太一の言葉に応える手塚。適当に扱われた気がした太一は、手塚の隣まで駆け寄り、嫌味を込めて言った。
「手塚も早く彼女できるといいな」
「何だよ、偉そうに。調子乗ると痛い目にあうぞ」
軽く手塚に叩かれた太一は、正直浮かれていた。でもそれは初めて彼女ができた男子なら普通の感情のはず。今日だけは盛大に浮かれても問題ないだろう。そう太一は思っていた。
週明けの月曜日。教室に着いた太一は、先に来ていた生徒の視線を一斉に浴びた。いつもと違う雰囲気に違和感を覚えながら、太一は自分の席に荷物を置く。
「ちょっと月岡。聞きたいことがあるんだけど」
クラスメイトの一人である森川有香が、太一の机に近づいてくる。有香はクラスの中でも一番気の強い女子で、正直太一は苦手だった。
「き、聞きたいことって?」
小首を傾げる太一に向け、有香は自分のスマホを取り出すと太一に画面を見せる。
「これって月岡のことだよね?」
太一の目に映ったのは、全く身に覚えのない画像データだった。画面の左上には有香の言っている通り、太一の名前が記されている。だから太一に聞いてきたことがわかった。それよりも太一が驚いたのは、画像の詳細。スマホ画面には、太一の血液検査の結果が表示されている。
「……ちょっと待って」
「言えることって?」
「ボンドなんかなくても、好きな子と付き合える」
太一の真っ直ぐな言葉に、手塚は腹を抱えて笑い出した。
「な、何で笑うんだよ」
「いや、悪い。太一って本当に馬鹿正直だよなって思って」
「……うるさい」
馬鹿正直のどこが悪い。自分の気持ちを素直に言うことに、悪いことなんてない。むしろずっと言えずにいることの方が問題ではないかと、太一は自分の考えを正当化する。
「まあ、その馬鹿正直なところが幸運の女神を引き寄せたのかもしれないな」
「幸運の女神?」
「柊さんのことだって」
手塚はそう告げると、再び歩き始めた。太一も手塚の一歩後ろをついていく。
「今まで振られまくってた太一を彼氏に選んだんだ。選ばれた太一からしたら、柊さんはそれくらい大きな存在って言ってもおかしくないだろ」
「……たしかに。でも俺と柊は、互いに気持ちが通じ合ったからこそ付き合うことになったんだ。それはわかってほしい」
「わかってるって」
片手を挙げて太一の言葉に応える手塚。適当に扱われた気がした太一は、手塚の隣まで駆け寄り、嫌味を込めて言った。
「手塚も早く彼女できるといいな」
「何だよ、偉そうに。調子乗ると痛い目にあうぞ」
軽く手塚に叩かれた太一は、正直浮かれていた。でもそれは初めて彼女ができた男子なら普通の感情のはず。今日だけは盛大に浮かれても問題ないだろう。そう太一は思っていた。
週明けの月曜日。教室に着いた太一は、先に来ていた生徒の視線を一斉に浴びた。いつもと違う雰囲気に違和感を覚えながら、太一は自分の席に荷物を置く。
「ちょっと月岡。聞きたいことがあるんだけど」
クラスメイトの一人である森川有香が、太一の机に近づいてくる。有香はクラスの中でも一番気の強い女子で、正直太一は苦手だった。
「き、聞きたいことって?」
小首を傾げる太一に向け、有香は自分のスマホを取り出すと太一に画面を見せる。
「これって月岡のことだよね?」
太一の目に映ったのは、全く身に覚えのない画像データだった。画面の左上には有香の言っている通り、太一の名前が記されている。だから太一に聞いてきたことがわかった。それよりも太一が驚いたのは、画像の詳細。スマホ画面には、太一の血液検査の結果が表示されている。
「……ちょっと待って」