いけない関係をしている。始めの頃は、雅樹自身も自覚があった。これで最後、今日で最後。そう思う一方で、紗雪の母親に対する思いは募るばかり。それに加え、紗雪の母親も次第に雅樹を受け入れてくれるようになっていた。
だからこそ雅樹の心が、紗雪の母親に傾くのは必然だった。
そしてついに雅樹の心は有香の母親から離れていき、紗雪の母親と肉体関係を持つようになった。
もう後戻りはできない。雅樹の心は完全に紗雪の母親に傾いた。もはや有香の母親に対する愛情は無くなっていき、次第に雅樹は有香の母親と別れる決意を固めていった。
しかしそんな矢先、雅樹にとって最悪な出来事が訪れる。
「妊娠したみたいなの」
週末。ボンドの仕事で上京した雅樹に、有香の母親は笑顔で話した。新しい命を授かることは、誰にとっても嬉しいこと。それでも今の雅樹には、有香の母親の言葉はあまりにも重すぎた。帰りの新幹線で雅樹はどうするべきなのか、必死に考えた。既に気持ちは有香の母親には向いていない。その気持ちは、子供を授かったと聞いても変わらなかった。
そもそも自分がいけなかったのだ。不倫という誰かが必ず苦しむような行為をしてしまったのだから。本来なら有香の母親と幸せな家庭を築くのが一番だった。でも今の雅樹の心には有香の母親はいない。どんなに考えても、浮かび上がってくるのは紗雪の母親の顔。これ以上、有香の母親を騙すことが雅樹にはできなかった。
そして雅樹は、次の週に有香の母親に全てを打ち明けた。
地元で好きな人ができてしまった。だからもう会えない。離婚しようと。
当然、有香の母親は怒ると思っていた。自分の身勝手な行動で、傷つけることになってしまったのだから。
しかし有香の母親は怒らなかった。
「うん。わかった」
あっさりと雅樹の言葉を受け入れてくれたのだ。でも有香の母親は雅樹に様々な要望を言ってきた。
子供は産みたいこと。姓は森川を名乗りたいこと。子供の養育費等の支援をすること。
雅樹は有香の母親の言葉を全て受け入れた。それくらいは雅樹自身、最低限行うべきことだと思っていたから。
そしてもう一つ。有香の母親が最後に告げた要望は、雅樹が一生背負う枷となった。
だからこそ雅樹の心が、紗雪の母親に傾くのは必然だった。
そしてついに雅樹の心は有香の母親から離れていき、紗雪の母親と肉体関係を持つようになった。
もう後戻りはできない。雅樹の心は完全に紗雪の母親に傾いた。もはや有香の母親に対する愛情は無くなっていき、次第に雅樹は有香の母親と別れる決意を固めていった。
しかしそんな矢先、雅樹にとって最悪な出来事が訪れる。
「妊娠したみたいなの」
週末。ボンドの仕事で上京した雅樹に、有香の母親は笑顔で話した。新しい命を授かることは、誰にとっても嬉しいこと。それでも今の雅樹には、有香の母親の言葉はあまりにも重すぎた。帰りの新幹線で雅樹はどうするべきなのか、必死に考えた。既に気持ちは有香の母親には向いていない。その気持ちは、子供を授かったと聞いても変わらなかった。
そもそも自分がいけなかったのだ。不倫という誰かが必ず苦しむような行為をしてしまったのだから。本来なら有香の母親と幸せな家庭を築くのが一番だった。でも今の雅樹の心には有香の母親はいない。どんなに考えても、浮かび上がってくるのは紗雪の母親の顔。これ以上、有香の母親を騙すことが雅樹にはできなかった。
そして雅樹は、次の週に有香の母親に全てを打ち明けた。
地元で好きな人ができてしまった。だからもう会えない。離婚しようと。
当然、有香の母親は怒ると思っていた。自分の身勝手な行動で、傷つけることになってしまったのだから。
しかし有香の母親は怒らなかった。
「うん。わかった」
あっさりと雅樹の言葉を受け入れてくれたのだ。でも有香の母親は雅樹に様々な要望を言ってきた。
子供は産みたいこと。姓は森川を名乗りたいこと。子供の養育費等の支援をすること。
雅樹は有香の母親の言葉を全て受け入れた。それくらいは雅樹自身、最低限行うべきことだと思っていたから。
そしてもう一つ。有香の母親が最後に告げた要望は、雅樹が一生背負う枷となった。