美帆を引き留めた太一は作り笑いを見せつつ、急いでノートパソコンの蓋を閉じた。
「何で閉じるの?」
太一のいかにもな行動に、美帆は肩に置かれた手を振り払うと太一と向き合う。
「いや、今はパソコン使えなくて……」
「嘘。使ってたよね。画面の明かりだってついてたし」
腕組みをして仁王立ちする美帆を、太一は見ていられず視線をそらす。こういう時に限って上手い言い訳が見つからない。
動揺する太一を見て美帆は何か思いついたのか、急にもじもじし始めた。
「もしかしてお兄ちゃん……エッチなサイトでも見てたんでしょ」
「み、見てないって」
「あっ、今声が上擦った。怪しい」
じーっと見つめてくる美帆は太一の腕を掴んで詰め寄ってくる。これでもう逃げ場がなくなった。
太一は選択を迫られた。このままノートパソコンの画像を見せるべきか、嘘をつくべきか。深呼吸をした太一は自らの選択肢を決めると、美帆に頭を下げた。
「な、何?」
「ごめん……エッチなサイト見てた」
太一の言葉に美帆は渋面を作った。太一は信じてもらえるよう、さらにたたみかける。
「見てたサイトが結構すごくて。美帆に見せられなかったんだ」
太一の言葉を聞いた瞬間、美帆の頬が一気に赤くなっていった。
「もう、お兄ちゃん最低。変態。明日のお弁当、から揚げ入れてあげないんだから」
太一を掴んでいた手を離した美帆は、弁当箱を抱えたままむすっとした表情を晒して、そのまま部屋から出て行った。美帆がいなくなり、とりあえず太一はほっと息を吐く。最低と言われたけど、これも可愛い妹を思っての決断だった。
ドアを閉めた太一はゆっくりとノートパソコンを開ける。真っ暗だった画面が数秒で明るくなり、元の画面に戻る。そこには変わらず太一のボンドが表示されていた。
もし美帆がボンド検査の結果を見てしまったら。そう思うだけで胸が苦しくなった。
今日初めて知ったボンドの恐怖を美帆に抱いてほしくない。そう強く思うのは、美帆が血縁関係だからなのかもしれない。
もし美帆も自分と同じゼロ型だったら。
星野教授の論文には、ボンドは遺伝しないものだとはっきり書かれている。本当ならそこまで気にすることではないのかもしれない。
でももしも論文のデータに誤りがあるとしたら。
「何で閉じるの?」
太一のいかにもな行動に、美帆は肩に置かれた手を振り払うと太一と向き合う。
「いや、今はパソコン使えなくて……」
「嘘。使ってたよね。画面の明かりだってついてたし」
腕組みをして仁王立ちする美帆を、太一は見ていられず視線をそらす。こういう時に限って上手い言い訳が見つからない。
動揺する太一を見て美帆は何か思いついたのか、急にもじもじし始めた。
「もしかしてお兄ちゃん……エッチなサイトでも見てたんでしょ」
「み、見てないって」
「あっ、今声が上擦った。怪しい」
じーっと見つめてくる美帆は太一の腕を掴んで詰め寄ってくる。これでもう逃げ場がなくなった。
太一は選択を迫られた。このままノートパソコンの画像を見せるべきか、嘘をつくべきか。深呼吸をした太一は自らの選択肢を決めると、美帆に頭を下げた。
「な、何?」
「ごめん……エッチなサイト見てた」
太一の言葉に美帆は渋面を作った。太一は信じてもらえるよう、さらにたたみかける。
「見てたサイトが結構すごくて。美帆に見せられなかったんだ」
太一の言葉を聞いた瞬間、美帆の頬が一気に赤くなっていった。
「もう、お兄ちゃん最低。変態。明日のお弁当、から揚げ入れてあげないんだから」
太一を掴んでいた手を離した美帆は、弁当箱を抱えたままむすっとした表情を晒して、そのまま部屋から出て行った。美帆がいなくなり、とりあえず太一はほっと息を吐く。最低と言われたけど、これも可愛い妹を思っての決断だった。
ドアを閉めた太一はゆっくりとノートパソコンを開ける。真っ暗だった画面が数秒で明るくなり、元の画面に戻る。そこには変わらず太一のボンドが表示されていた。
もし美帆がボンド検査の結果を見てしまったら。そう思うだけで胸が苦しくなった。
今日初めて知ったボンドの恐怖を美帆に抱いてほしくない。そう強く思うのは、美帆が血縁関係だからなのかもしれない。
もし美帆も自分と同じゼロ型だったら。
星野教授の論文には、ボンドは遺伝しないものだとはっきり書かれている。本当ならそこまで気にすることではないのかもしれない。
でももしも論文のデータに誤りがあるとしたら。