今朝自分がゼロ型だと判明して、お昼に柊に振られた。そして放課後に高野先生に呼び出された後、教室で紗雪から告白を受けた。そして付き合うふりをするという約束まで交わしてしまった。
「ありえないよな」
本当にありえない一日だった。いろんなことがありすぎて、太一の脳内は処理が追いついていない。とにかくありえないことが立て続けに起こった。それだけは認識できている。
ポケットに手をつっこみ、紙切れを取り出す。そこには電話番号とアドレスが記載されていた。まるで本当に付き合い始めるカップルみたいだと思う。でも紗雪とは付き合っているふりをするだけで、特に何もない。ただのクラスメイト。それでも柊と並んで学年トップクラスの美少女なだけあって、少しは紗雪を意識してしまう。
そんな太一の脳内にドアをノックする音が響き渡る。
「お兄ちゃん、入るよ」
妹の美帆が部屋に入ってきた。
「どうした?」
「家に帰ったらお弁当箱出してって言ったでしょ」
「悪い。今日も美味しかったよ」
美帆に弁当箱を渡す。いつもより重みのある弁当箱に、美帆は表情を崩した。
「あれ、残してる。いつも残さず食べてるのに」
「ごめん。今日は……食べる時間がなかったんだよ」
美帆に対して食欲がなかったとは言えなかった。
「そうなんだ。でも、昨日と違って元気ないように見えるよ」
「そ、そうかな……」
「もしかして、付き合うって豪語してた彼女に振られちゃったとか」
美帆の的を射た発言に、太一は思わず息を呑む。
「お、お兄ちゃんはまだ彼女いるから……」
「いーや。昨日はずっとニヤニヤして「早く明日にならないかな」ってしつこく話しかけてくるほど気持ち悪かったくせに。今日のお兄ちゃんは気持ち悪いというより、普通に変」
美帆は太一の様子を訝しむと、視線を机に置いてあったノートパソコンに移した。
「あっ、パソコンついてる」
「えっ……」
「ちょうどよかった。ちょっと調べたいことあって。お兄ちゃん、パソコン借りるね」
「ちょっと待った!」
横を通り過ぎようとした美帆の肩に、太一は咄嗟に手を置く。今の状況で画面を見られたら不味い。画面には太一のボンド検査の結果が表示されたままだ。もし美帆が画面を見たら、自分がゼロ型だとばれてしまう。
「ありえないよな」
本当にありえない一日だった。いろんなことがありすぎて、太一の脳内は処理が追いついていない。とにかくありえないことが立て続けに起こった。それだけは認識できている。
ポケットに手をつっこみ、紙切れを取り出す。そこには電話番号とアドレスが記載されていた。まるで本当に付き合い始めるカップルみたいだと思う。でも紗雪とは付き合っているふりをするだけで、特に何もない。ただのクラスメイト。それでも柊と並んで学年トップクラスの美少女なだけあって、少しは紗雪を意識してしまう。
そんな太一の脳内にドアをノックする音が響き渡る。
「お兄ちゃん、入るよ」
妹の美帆が部屋に入ってきた。
「どうした?」
「家に帰ったらお弁当箱出してって言ったでしょ」
「悪い。今日も美味しかったよ」
美帆に弁当箱を渡す。いつもより重みのある弁当箱に、美帆は表情を崩した。
「あれ、残してる。いつも残さず食べてるのに」
「ごめん。今日は……食べる時間がなかったんだよ」
美帆に対して食欲がなかったとは言えなかった。
「そうなんだ。でも、昨日と違って元気ないように見えるよ」
「そ、そうかな……」
「もしかして、付き合うって豪語してた彼女に振られちゃったとか」
美帆の的を射た発言に、太一は思わず息を呑む。
「お、お兄ちゃんはまだ彼女いるから……」
「いーや。昨日はずっとニヤニヤして「早く明日にならないかな」ってしつこく話しかけてくるほど気持ち悪かったくせに。今日のお兄ちゃんは気持ち悪いというより、普通に変」
美帆は太一の様子を訝しむと、視線を机に置いてあったノートパソコンに移した。
「あっ、パソコンついてる」
「えっ……」
「ちょうどよかった。ちょっと調べたいことあって。お兄ちゃん、パソコン借りるね」
「ちょっと待った!」
横を通り過ぎようとした美帆の肩に、太一は咄嗟に手を置く。今の状況で画面を見られたら不味い。画面には太一のボンド検査の結果が表示されたままだ。もし美帆が画面を見たら、自分がゼロ型だとばれてしまう。