「おほん。僭越ながら申し上げますと、こちらの委員会の人手不足を解消するには、やはり高雅様の能力にお力添えをいただくことが最善策かと思います。
高雅様のお力を最大限に引き出せる演出をあらゆる要素を考慮して突き詰めた結果、万人に支持される演劇という結論に至りました」
高雅さんの能力を上手く利用すれば、この図書委員会最大の課題である人手不足は確かに解消される。
何なら彼の能力があれば、大抵のことは何とかなりそうだ。マジックショーも盛大に披露できそうだ。
「ふむ、なるほど。一応筋は通ってる。だが問題は……」
白八木さんの説明に納得はした白馬先生は、ちらりと後ろで本を読む彼に視線を配る。
「高雅、お前はどうだ」
「彼が言ったことなんだから、彼自身の意見であって僕には関係ない。責任転嫁はやめなよね、教師のくせして」
「ぐっ……だが、お前のとこの執事が提案したことには、お前のその力が必要不可欠だ。そこんとこはどうなんだ」
「何故僕がそんな手間をかけなければならない? やらないよ」
まあ、予想通りの反応だ。
この人が自ら率先して、何なら新入生のために開催するイベントで表立った活動など引き受けるわけがないのだから。
「見ろ。お前の主人はやる気なんてサラサラねーぜ」
「そんなっ……」
主人にあっさりとフラれてしまった白八木さんは、珍しく目に感情を浮かべてショックを受けているようだ。ドンマイ。
しかしこうなれば代替案もなく、八方塞がりだ。
「そうだよなぁ……グランプリのルールじゃ出し物には委員の代表一人を選んで舞台に出るって条件があるしなぁ」
「えっ、そうなんですか」
「……あなたはまた情報伝達に欠けてる」
高雅さんに再び指摘されて、その本人はまた頭を掻いている。
……あれ? でもそうなると私か高雅さんがステージに立たないといけないってこと?
「ちなみに、顧問はダメだ。協力はしていいが、助っ人っつーことでカウントされない。つまりはお前らの内どちらかに舞台に立ってもらう」
あ、予感的中だ。
あとこうなると物凄く嫌な予感がするのは気のせい?
いやでも私は新入生だし、仮だし、図書委員ではないし、やっぱり代表は高雅さんに……。