帰りの電車は、乗り込んだ近くには空席がない程度に混んでいた。園内を歩いているときよりも重たく感じられてきた絵を前に抱え、扉のそばの手すりに寄りかかって、最寄り駅への到着を待った。
外出中の家族は、帰宅後、この絵の存在に気が付くだろうかと少し興奮しながら、玄関の壁に絵を飾った。
母はわたしの帰宅後、数時間で帰ってきた。どんと重たい荷物を置くような音の後、ふうと息をつくのが聞こえた。プレイ中のパズルゲームを表示する携帯電話を座卓に置き、座布団から腰を上げる。居間を出て玄関へ向かうと、母は大きく膨らんだエコバッグの前、廊下の下にいた。
「おかえり。すごい荷物だね」
「スーパーでいろいろ安かったのよ。しばらくの夕飯の材料と、キッチン雑貨とを買ってたらこの様よ」もう腰が痛くて痛くて、と母は体を後ろに反らし、腰を叩いた。
「もう歳だね」と苦笑してバッグを持ち、台所へ向かう。振り返って「中上がるところまでは手伝えないよ」と笑うと、母は「手伝ってもらう気もないさ」と、わたしと同じように笑った。
外出中の家族は、帰宅後、この絵の存在に気が付くだろうかと少し興奮しながら、玄関の壁に絵を飾った。
母はわたしの帰宅後、数時間で帰ってきた。どんと重たい荷物を置くような音の後、ふうと息をつくのが聞こえた。プレイ中のパズルゲームを表示する携帯電話を座卓に置き、座布団から腰を上げる。居間を出て玄関へ向かうと、母は大きく膨らんだエコバッグの前、廊下の下にいた。
「おかえり。すごい荷物だね」
「スーパーでいろいろ安かったのよ。しばらくの夕飯の材料と、キッチン雑貨とを買ってたらこの様よ」もう腰が痛くて痛くて、と母は体を後ろに反らし、腰を叩いた。
「もう歳だね」と苦笑してバッグを持ち、台所へ向かう。振り返って「中上がるところまでは手伝えないよ」と笑うと、母は「手伝ってもらう気もないさ」と、わたしと同じように笑った。