絵はダンボールに包まれ、ダンボールを縛る紐には緑色のフックがつけられた。フックに手を通して持ってみると、それは買うか買うまいか悩んでいるときよりも重たく感ぜられた。これが七千五百円の出費の重さか。

 売店を出て、バッグからペットボトルを取り出す。人肌、と言うには少し熱いようなスポーツドリンクは、あまりうまいとは思えない。

 「絵、買ったんだね」とナオさんの声が聞こえて振り返ると、彼は大きな袋を二つ持っていた。随分買ったなというのと同時に、こんな場所で土産を売っているような店にこれほどの大きさの袋があるのかとも驚いた。すごい、とわたしは小さく笑う。

 「ナオさん、随分買いましたね」

 「買い物は趣味なんだ」ものを買うのが好きなんだと彼は言う。


 「なに買ったんですか?」と、園の出入り口へ向かいながら問うた。

 「それはもう、いろいろ。自分用にはクッションとジグソー……あげるものには、ちょっとしたお菓子と立体パズル」

 「あそこ、お菓子高くなかったですか?」

 「それくらいの買い物の方がおもしろいじゃない?」


 車で来たのだというナオさんとは駐車場へ続く道と出入り口へ続く道とで分かれるところで手を振った。彼は舞台を変えて、引き続き“趣味”を楽しむという。