「ほら寝た寝た」と、弟は僕の肩を前から押した。僕が布団の上に寝転ぶと、弟は「毛布よこせ」と僕の毛布を取った。彼はそれを掛けて僕の布団のそばに体を横たえる。

 「……そこで寝るの?」

 「一緒に寝ようって言ったじゃん」

 「そういう意味?」

 「違ったけど、自分の部屋戻るのめんどくさくなった」

 「ええ……。寒くないの?」

 「インナー暖かいやつ。寝巻きも魔法のトレーナー」

 「……好きにして」

 「言われなくてもそうするさ」と言って、弟は目を閉じた。

 僕は「電気消すよ」と告げて、天井へ向けてリモコンを操作した。