あの紫色の花は知っている。サワギキョウだ。花言葉は「高貴」や「特異な才能」、晩夏から初秋に掛けて咲く花だ。原産地は日本や中国だったと記憶している。あの赤やピンク、オレンジなどの花をつけた背の高い花はタチアオイだ。花言葉は「大望」や「豊かな実り」、夏に咲く花で、そろそろ見られなくなってしまうだろう。原産地は西アジアや東ヨーロッパだったと記憶している。


 売店の中は広く、土産売り場の先に軽食が摂れる空間もあり、そこでチョコとバニラのツインソフトを食べた。土産売り場では、幼い少女がくまのぬいぐるみを抱えている。随分と大きいもののように見えるが、実際は大した大きさではないのだろう。彼女が背負っているキャラクターものの小ぶりなリュックサックも結構な大きさに見える。

 売店を出てすぐのところに設置されている自動販売機でスポーツドリンクを買った。かしゃんかしゃんと落ちてきた四枚の十円玉を財布へ入れ、取り出し口に引っかかったボトルを倒して取り出す。それぞれ財布とボトルを持った両手を上げ、伸びをした。遠くに蝉の声が聞こえる。

売店前の地面では、生温い――というより熱い――風に吹かれながら、スズメが華奢な脚を慌ただしく動かしている。あんなに地面に近ければ、この季節はさぞ暑いだろう。可能ならばともに暮らしたいほどの愛らしさだと改めて思いながら、財布とボトルをショルダーバッグへ納めた。